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京都産業保健総合支援センター メールマガジン275号 2024/5/15

        発行:京都産業保健総合支援センター 所長 松井 道宣
        ホームページ:https://www.kyotos.johas.go.jp
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両立支援に生かしたい!! 「就業規則」について考えよう
 ①就業規則の前に「労働契約」から考えてみよう

松田)労働者や事業場から休職・復職などの相談をお受けしたときに、 
   「御社の就業規則にはどう書いてありますか?」とお聞きすること
   がよくあります。

小見)「就業規則って何?」というテーマは、両立支援に従事する上で
   大事なことです。

松田)今回のシリーズでは小見副所長から就業規則についてレクチャーし
   ていただきたいのですが、その前に、労使関係の基本である「労働
   契約」について教えてください。

小見)「労働契約」とは、労働者が働くことと、使用者がその労働に対し
   て報酬(給与)を支払うことをお互い合意して約束することです。

松田)労働者には、正社員、契約社員、アルバイト、パートなど色々な
   パターンがありますね。

小見)その誰もが、働く際には労働契約を結んでいます。

松田)どこでどんな仕事をする、働くのは何時から何時まで、その対価と
   して、給料がどのように計算して何日に支払われる、などですね。

小見)そうです。そして、職場では色々な人が働いています(労働契約を
   結んでいます)。大勢の労働者がいたり、長年経営をしている職場
   では、時折「こんなときどうしたらいい?」という問題が起こって
   きます。そんなときのために、職場(使用者)は、労働条件や職場の
   規律に関する労働者に共通のルールとして「就業規則」を作るもの
   とされています。

松田)両立支援に引き寄せて考えてみると、病気になって休んだりする
   場合、労働者が契約通りに働けなくなることがありますね。

小見)労働者が業務外の私傷病によって労務を提供できないことは、「労
   働契約の債務不履行」という状態であるとも言えます。そんな場合
   にも、就業規則には「職場でどういうルールが適応されるか。」が
   書かれてあります。

松田)今回のシリーズでは、その辺を一緒に掘り下げて学んでいきたいと
   思います。
   ところで、10人以上の職場では、就業規則を作成し、労働基準監督
   署長に届け出ること、労働者に周知する(いつでも見られる状態に
   しておく)ことが義務付けられていますね(労働基準法第89条)。
   10人未満の場合はどうなのでしょう。

小見)就業規則は、事業場の労働者数が常態として10人未満である場合
   には、労働基準法上は作成しなくても差し支えないこととされて
   います。しかし、使用者と労働者との間の無用の争いごとを未然
   に防ぎ、秩序を維持して明るい職場づくりに寄与するという就業
   規則の役割から考えて、ぜひとも作成していただきたいです。

松田)労働者と使用者とが、お互い良好な関係を維持するためにも、労働
   契約・就業規則について押さえておいたほうが良いですね。両者は
   どういう関係と考えたらよいでしょうか?

小見)労働契約法第7条では「労働者及び使用者が労働契約を締結する場
   合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則
   を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業
   規則で定める労働条件によるものとする。」とされています。  
   つまり、就業規則は労働契約の内容そのものとなります*1

【引用文献】
 *1 玉泉孝次 谷口勉 谷口誠.「元労働基準監督官」がつくる就業規則・諸規定用例集 初版.清田冨士夫監修.東京.労働調査会.2022:P2

【参考文献】
 厚生労働省労働基準局監督課.“モデル就業規則(令和5年7月)”モデル就業規則について.2023-07
 https://www.mhlw.go.jp/content/001018385.pdf(参照2024-5-8)

※このコラムはホームページ(保健師の窓)からもご覧いただけます 
   → https://www.kyotos.johas.go.jp/health-nurse

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「疑問」を持つということ
     副所長 小見 伸雄

 帝銀事件や吉展ちゃん誘拐事件、三億円事件など大事件の捜査に係わってきた、警視庁の名物刑事で「平塚八兵衛」という方がいます。彼が捜査を行っていく上での信条は、「疑問をそのままに放置するな」という事でした。だから事件現場の検証をする時に、疑問がわかない様では一人前の刑事ではないと言っています。

 例えば、ある事件の端緒は、ホテルでの女性の首つり死体発見でした。鑑識を含め検証に立ち会った捜査員達は、自殺として見ていました。
 しかし八兵衛は、死体の状況にある疑問を持ちました。それは遺体が下着を着けていなかった事でした。女性が自殺をする時には、必ず発見された時の事を考えるものだと彼は言いました。
 下着をつけないまま、女性が自殺する事は絶対にあり得ない、だからこれは他殺だと判断したのです。そして、その後の捜査から、この一件は自殺と見せかけた殺人事件でした。
 同じ状況を見ても、この様に疑問を見つけられるかどうかで、結論は正反対になる場合があります。この事は全ての仕事に当てはまります。

 どんな素晴らしい仕事でも、完全というものは存在しません。人が作り上げたものに完全などあり得ません。何処かに必ず弱点や欠点がある筈です。また、時代や状況が変われば弱点が出てきます。
 それを昔からずっとこのやり方で来たのだからと疑問さえ持たないでいると、やがて何処かで綻びが生じ、最後には破綻が訪れます。大企業で発生する不祥事の多くは、この類型ではないでしょうか。
 常に、改善・改良が行われ、進歩・前進がなければなりません。自分の周りが流れて進んでいる時、立ち止まっている事は後退しているのと同じです。逆説的な言い方ですが、変わらないためには、変えていくことが必要なのです。
 産業保健の分野も決して例外ではないと思います。

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◇ 令和6年度 両立支援コーディネーター基礎研修のご案内 ◇

 第1回から第3回の日程が公表されました。
 オンライン形式(動画配信研修+WEBライブ講習)での開催です。
 応募者多数の場合は厳正なる抽選のもと、受講者を決定いたします。
 https://www.johas.go.jp/ryoritsumodel/tabid/2126/Default.aspx

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    両立支援コーディネーター基礎研修を受講された皆様へ

  メールアドレス、ご所属先など登録情報の変更がございましたら
  以下のアドレス宛てにご連絡ください。

       労働者健康安全機構勤労者医療課 
       両立支援コーディネーター養成研修事務局
       E-mail: co-ryoritu@honbu.johas.go.jp

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◇ メンタルヘルス対策支援サービスについて(無料)◇

  促進員が事業場に赴き、お手伝いいたします。

   ・管理監督者教育への講師派遣
   ・若年労働者教育への講師派遣
   ・「こころの健康づくり計画」策定に関する支援
   ・「職場復帰支援プログラム」作成に関する支援
   ・ストレスチェック制度の導入や実施後の職場環境改善等に
    関する支援
    詳 細→ https://www.kyotos.johas.go.jp/mental

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◇ 治療と仕事の両立支援サービスについて(無料)◇

 当センターでは、治療を受けながら仕事を続けたい方、両立支援に取り組む事業場の方からの相談に応じています。
  → https://www.kyotos.johas.go.jp/ryoritsu

*出張相談窓口を開設しております。【要予約】
  ・京都大学医学部附属病院  毎月第3水曜日( 9:30~12:30)
  ・京都府立医科大学附属病院 毎月第2木曜日(10:00~12:00)
  ・京都市立病院       毎月第1金曜日(11:00~12:00)
  ・京都第二赤十字病院    随時
  ・京都第一赤十字病院    随時
  ・京都桂病院        随時
  ・京都医療センター     随時
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  ・京都岡本記念病院     随時
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発 行 人 :松井 道宣  編 集 人 :小見 伸雄
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