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京都産業保健総合支援センター メールマガジン288号 2024/12/2
発行:京都産業保健総合支援センター 所長 松井 道宣
ホームページ:https://www.kyotos.johas.go.jp/wp
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当センター主催 産業医研修会ついて
12月~1月開催研修会 受付中
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◇京都産業保健総合支援センター ホームページ情報◇
1)日本医師会 令和6年度第3,4回産業医Web研修会について
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◇ 雑感 ◇
産業保健相談員(メンタルヘルス・医学) 南部 知幸
先日、「恋するピアニスト フジコ・ヘミング」と言う映画を観る機会があった。90歳余での、その力強い指の動きに脅威の念を覚えたが、演奏は「魂が入った」ものであるべきとの言、また人生に一番必要なものはと問われ「愛」「皆な一人一人が幸せになるような」と語られたことが印象に残った。演奏家は、日々、数時間の練習をこなす事を常としており、精神性をも高める必要があると言う。身体と精神が高いレベルで統合された時に優れた音が出るのだと思う。
約半世紀前、精神科を選択し、精神病理学に興味を持ち、その道を歩み始めたが、その頃の流行りの精神病理学は人間学派と言われ、実存哲学的な考え方の影響が強いものであった。それ故、哲学的素養や知力のない私なぞが関与できるものではなく、何らの成果も挙げ得なかったのは当然の事であった。しかしながら、精神を病む人が、病に伴い、どのように世界、身体、時間、空間と関係し得るのか、その在り様の変化を問うことは、心身の総合として人間を捉える全人的医療をめざそうとする者にとって、重要な問題であったとは思う。ただ人間学派は精神を病む基礎的原因や治療への結びつきに乏しく、その点では問題があったのかも知れない。
時の流れとともに、科学は驚異的な速度で進歩し、AIが人間の知力を凌駕し、将来はAIが人間を支配する可能性をも危惧されるようになってきている。ある学者は「AIに聞けば何でも解決する世界がやってくる」と言う。悲しいかな、私自身、それら科学の最先端を把握することなど出来もしない。
精神医学が、医学の中で最も心について学べるとの思いを持ちながら、営々とした歩みを続けてきたが、それも今や風前の灯火にある。しかし、人は迷い、悩み、不安に駆られながら日々を過ごしていることも事実である。その事実の中に、まだ精神科の留まるべき地盤があるのかもしれない。
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◇過度な合理的配慮の横行する学生メンタルヘルス事情◇
産業保健相談員(メンタルヘルス・医学) 須賀 英道
最近の若手のメンタルヘルス事情で気になることがある。大学生に対する過度なまでの合理的配慮である。これは特に私立大学系に見られる現象であろう。学生が気軽にクリニック受診し、合理的配慮の診断書を求めて来る。診断書の提出によって、講義の欠席やプレゼンの免除などが容認されることになるからである。合理的配慮は元来、一般学生に比して障害を持つ学生が教育を受ける際に不利な条件が与えられることのないように適時是正されることが求められるものである。しかし、障害学生への合理的配慮という言葉が独り歩きし、今では一般学生より有利な条件が与えられるという状況になっているのである。例えば、不安症の診断書によって講義出席やプレゼンが免責となり、単位取得可となっている。他にも、ADHDやLD、ASDのみならず、うつ病診断によっても同様な事態となっている。このことは入試での合理的配慮にも広がっている。パニック症の個室受験やトイレ同伴などは確かにパニック発作対応への合理的配慮といえるが、最近では発達障害系への受験時間の延長容認までが生じている。さらに、LD診断によって、参考資料の持ち込みや質問用紙の漢字にルビをふることが容認されたことには驚くばかりである。この取り決めは既に学生の所属する高校側から合理的配慮の必要性を求める診断書添付によって、大学側も容認することである。こうした学生の入学後の対応は大変である。通常授業には学生本人はレベルがついていけず、その結果、合理的配慮の診断書によって単位取得となる。卒論免除配慮も最近では見られる。こうした状況は、大学で教育を受けるという目的から外れ、大学卒業というステータスを得るのみとなっている。この傾向が障害学生の親側の要望から私立大学ではますます強まることが予想されるのである。そして、今後は就労環境における合理的配慮にまで広がるかもしれない。
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◇「あなたは健康ですか?」令和6年版厚生労働白書から◇
メンタルヘルス対策・両立支援促進員 金丸 京子
令和6年版厚生労働白書(令和5年度厚生労働行政年次報告)が、令和6年8月27日に公表されています。
「あなたは健康ですか?」という言葉から始まる「はじめに」の章には、興味深い文章が次のようにいくつも見受けられます。こころの健康は、人間の健康を支える土台であるとともに、社会とのつながりにも深く関係している(以下略)。こころの健康と社会のつながりには、相互性がある。私たち一人ひとりは同じ社会に暮らす隣人の健康に対して決して無関係ではないともいえよう。こころの健康は、すべての人に関係があり、私たちの社会においても大切なテーマである一方、身近な課題であるが故に、まっすぐに向き合うことが難しいテーマであったかもしれない。
その上で、次のように述べられています。
そこで厚生労働白書第Ⅰ部では、「こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に」と題し、厚生労働白書としては初めて、こころの健康について論じることにした。 (以下略)
私は、平成22年8月より京都産業保健総合支援センター(通称「産保センター」と呼ばれています。)の(旧)メンタルヘルス対策促進員(現在:メンタルヘルス対策・両立支援促進員)として、ご依頼をいただいた京都府内の事業所を訪問し、例えば「管理監督者向け・若年労働者向けメンタルヘルス教育の実施」として、働く人ご自身や周囲の方々の健康について理解を深めていただけるような研修を行ったり、事業所を休職された方が復職できるよう、事業所の「職場復帰プログラムの作成支援」をしたり、あるいは働きやすい環境づくりの一助となるであろう「心の健康づくり計画の策定」支援をさせていただいております。これらの事業については、平成22年8月頃にはまだなかったように思います。
今年の厚生労働白書がこころの健康について、最初に、そして深く丁寧に取り上げたように、働く人の取り巻く環境が目まぐるしく変化している中で、産保センターの事業も、より一層充実してきたことが、自身の支援活動を振り返る中で実感することとなりました。
改めて産保センターの事業について、その重要性や意義について自分なりに再整理し、なお一層働きやすい、風通しの良い職場環境づくりの一助となれるよう、微力ながら精一杯頑張りたいと思います。
産保センターの事業は、上述にご紹介したもの以外にも「治療と仕事の両立支援サービス」等があり、HPでご確認いただけます。是非ご活用いただけましたらと存じます。なお厚生労働省の外郭団体でございますので費用はかからずご安心いただけますことも念のため申し添えます。
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◇メンタルヘルス対策支援サービスについて(無料)◇
促進員が事業場に赴き、お手伝いいたします。
・管理監督者教育への講師派遣
・若年労働者教育への講師派遣
・「こころの健康づくり計画」策定に関する支援
・「職場復帰支援プログラム」作成に関する支援
・ストレスチェック制度の導入や実施後の職場環境改善等に
関する支援
詳 細→ https://www.kyotos.johas.go.jp/wp/mental
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◇ 治療と仕事の両立支援サービスについて(無料)◇
当センターでは、治療を受けながら仕事を続けたい方、両立支援に取り組む事業場の方からの相談に応じています。
→ https://www.kyotos.johas.go.jp/wp/ryoritsu
*出張相談窓口を開設しております。【要予約】
・京都大学医学部附属病院 毎月第3水曜日( 9:30~12:30)
・京都府立医科大学附属病院 毎月第2木曜日(10:00~12:00)
・京都市立病院 毎月第1金曜日(11:00~12:00)
・京都第二赤十字病院 随時
・京都第一赤十字病院 随時
・京都桂病院 随時
・京都医療センター 随時
・洛和会音羽病院 随時
・宇治徳洲会病院 随時
・京都山城総合医療センター 随時
・京都岡本記念病院 随時
・市立福知山市民病院 随時
・京都府立医科大学附属病院 北部医療センター 随時
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◇ 産業保健スタッフ研修会のご案内 ◇
『上手なほめ方』 日時:令和6年12月10日(火) 14:00~16:00
『上手なしかり方』日時:令和7年 1月15日(水) 14:00~16:00
会 場:アーバネックス御池ビル東館 2階会議室
講 師:(株)ホリスティックコミュニケーション代表取締役 豊田直子氏
参加費:無料
※日医認定産業医の単位は付与されません。
お申込: https://www.kyotos.johas.go.jp/wp/training#training02
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◇「2024年度 治療と仕事の両立支援シンポジウム」のご案内 ◇
◯オンラインセミナー
1回目:治療と仕事の両立支援とは?各業種の中小企業の取組から学ぶ」
2回目:「治療と仕事の両立支援とは?労働者の経験・エピソードから
学ぶ両立支援の進め方」
詳細 → https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/symposium/
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◇「令和6年度京都府高次脳機能障害(京都市域)支援ネットワーク会議」のご案内◇
【 開 催 日 】令和7年1月9日(木)13:00~15:30
◯基調講演
「循環器病対策推進計画における脳卒中患者に対する両立支援の展開」
◯シンポジウム
「高次脳機能障害のある方への復職支援の実際」
詳細→https://www.kyotos.johas.go.jp/wp/wp-content/uploads/2024/10/R6koujinousienn.pdf
申込→https://sc.city.kyoto.lg.jp/multiform/multiform.php?form_id=8643
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◇ 令和6年度 両立支援コーディネーター基礎研修のご案内 ◇
今年度の日程が公表されています。
オンライン形式(動画配信研修+WEBライブ講習)での開催です。
応募者多数の場合は厳正なる抽選のもと、受講者を決定いたします。
→ https://www.johas.go.jp/ryoritsumodel/tabid/2126/Default.aspx
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◇ 両立支援コーディネーター基礎研修を受講された皆様へ ◇
メールアドレス、ご所属先など登録情報の変更がございましたら
以下のアドレス宛てにご連絡ください。
労働者健康安全機構勤労者医療課
両立支援コーディネーター養成研修事務局
E-mail: co-ryoritu@honbu.johas.go.jp
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◇労災疾病等医学研究普及サイト
「石綿関連疾患診断技術研修(石綿小体計測講習会)」のご案内◇
本講習会では、検体の作成方法から石綿小体の測定方法まで、
実際に顕微鏡を用いながら学ぶことができる上、少人数体制のため、
新規参加者の方でも安心して学べる内容となっています。
今年度は令和6年12月7日(土)に開催いたしますので、下記リンクから
詳細をご覧ください。
→ https://www.research.johas.go.jp/asbestokenshu/
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◆京都産業保健総合支援センターご利用案内◆
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◆相談のご案内◆
https://www.kyotos.johas.go.jp/wp/consultation
◆研修・セミナーのご案内◆
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◆図書・教材のご案内◆
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◆産業保健新着情報◆
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発 行 人 :松井 道宣 編 集 人 :小見 伸雄
編集協力 :産業保健相談員 メンタルヘルス対策・両立支援促進員
発行/配信:京都産業保健総合支援センター https://www.kyotos.johas.go.jp/wp