バックナンバー

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京都産業保健総合支援センター メールマガジン295号 2025/3/14
        発行:京都産業保健総合支援センター 所長 松井 道宣
        ホームページ:https://www.kyotos.johas.go.jp
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        当センター主催 産業医研修会ついて

         3月~5月開催研修会  受付中
                                    
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  お手続きください。※非会員の方も登録が必要です
  日本医師会産業医部会連絡協議会
   ・認定産業医の各種手続きに不可欠なMAMIS 登録完了について
   https://www.sangyo-doctors.gr.jp/Notice/Details/9025
   ・登録案内 MAMISchirashi_Ver3.pdf
   ・認定産業医更新手続きコロナ特例の終了について
   → https://www.sangyo-doctors.gr.jp/Notice/Details/9022

*セミナー・研修の詳細・お申込み
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*申込完了メール(自動)を受信されたことにより受付完了となります。
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両立支援に生かしたい!!『就業規則』について考えよう
 ⑪ 健康情報等の取扱規程

松田)「会社に病名を伝えると一気に広まってしまうから言いたくない」
   という労働者(患者)の方がいました。

小見)個人情報が無造作に扱われる職場を想像すると、不安になりますよ
   ね。

松田)病気のレッテルを貼られることを危惧したり、周囲に余計な心配を
   かけたくないと考えたり‥人によって想いは様々です。そのため、
   個人情報の取り扱いには慎重な対応が求められますね。

小見)平成30年9月7日、厚生労働省は「労働者の心身の状態に関する
   情報の適正な取り扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指
   針」を公表しています(改正令和4年3月31日)。

松田)これは、労働者の健康情報の取り扱いに関する原則を示したもので
   すね。その趣旨は?

小見)主な趣旨は次のとおりです。
   ①健康情報は非常にデリケートな情報であること。
   ②労働者が「自分が不利に扱われるのでは?」など不安に思うこと
    なく、安心して会社に報告し、産業医などの健康相談を受けられ
    る環境を整えること。
   ③会社が労働者の健康を確保するために、必要な健康情報を取得
    し、適切に管理すること。

松田)会社は具体的にどのような対応を取る必要があるのでしょうか?

小見)まず、社内で「健康情報等の取扱規程」を作成し、健康情報を取り
   扱う目的や方法などのルールを定め、労働者に周知することが重要
   です。

松田)その取扱規程には、「健康情報を取り扱う者とその権限、および取
   り扱う情報の範囲」を定める事項がありますね。

小見)つまり、「誰が、どの種類の情報を取り扱うのか」を明確にするこ
   とです。

松田)それによって、従業員のプライバシーに関わる人が限定されるとい
   うことですね。

小見)そのとおりです。では、従業員側の対応についても考えてみましょ
   う。

松田)従業員自身も、自分の情報を「誰に、どこまで伝えるのか」を意思
   表示をすることが大切ですね。

小見)病気について一切公表しないと、職場が適切な対応を取れず、必要
   な配慮を受けらない可能性もあります。

松田)信頼できる上司や同僚に伝えることで、理解者を得て気持ちが楽に
   なったというケースもありますね。

小見)病名を公表しないことのメリットとデメリットを十分に考えたうえ
   で、判断することが必要ですね。

*保健師コラムは、今月号で一旦終了とさせていただきます。
 6年間、ご覧いただきありがとうございました。

【参考資料】
「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取り扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」(厚生労働省)
 https://www.mhlw.go.jp/content/000922318.pdf (参照2025-3-13)

事業場における労働者の健康情報等の取扱規程を策定するための手引き(厚生労働省)
 https://www.mhlw.go.jp/content/000729524.pdf (参照2025-3-13)

神奈川産業保健総合支援センター “治療と仕事の両立のための就業規則規程例集” 治療と仕事の両立支援事業 2023-03.
https://www.kanagawas.johas.go.jp/files/libs/2397/202304261335406545.pdf (参照2025-3-13)

※このコラムはホームページ(保健師の窓)からもご覧いただけます 
   → https://www.kyotos.johas.go.jp/health-nurse

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ありがとうございました    副所長  小見 伸雄

 皆様にご質問します。「安全」の定義をご存知ですか? 
毎日、仕事でも、家庭でも、使っている言葉です。「安全」は国際的に定義されています。

 答えを申し上げます。正解は、「許容不可能リスクがないこと」です。ISO国際規格、JIS日本工業規格にも規定されています。
 この安全の定義。安全を考える上で非常に深い言葉だと思います。
定義からは、「許容可能なリスク」は残っていることを意味しています。普段、私たちが安全という言葉を使う際は、絶対安全という意味で使用していることが多いと思います。危険つまりリスは無い状態です。しかし、本当の安全の定義は許容できるリスクがある、つまり絶対安全なんてないよと公言しています。これが本来の安全です。自動化しても、安全装置をつけても、保護具を着用しても災害は無くなりません。機械は壊れますし、人間はミスをします。原子力発電所は安全だと言われていましたが、現実はご存じのとおりです。本当に安全を目指すなら、安全には必ずリスクは残っていることを認識して取り扱うことが必要なんだということです。

 以前にもお話しした「龍安寺の石庭」を思い出してください。ご存じのとおり、龍安寺には有名な石庭がございます。立ち並ぶ石の数は全部で15個なのですが、どの角度から眺めても必ず1個の石は他の石に隠れて見えないように造られています。なぜそのような配置にしたのか?。有力な説に「七五三説」というものがあります。古来、中国では「15」という数字は「完全」を表す数字とされています。どの角度から眺めても必ず1個の石は隠れて見えないように作られている石庭は「不完全」な庭ということになります。そこから、この石庭には、足りないものを見つめ、
今の自分が存在することを心から感謝することを忘れてはならないという想いが込められているとのことです。

 これは、安全の定義即ち完全な安全などないと共通しています。完全なものなどないとの意識を持って、危険の芽はないか、仕事で悩んでいる者はいないかと職場を見つめる。その意識が職場の安全衛生水準の向上となり、職場全体の士気の向上となり、業績全体の向上にもつながっていくと思います。日々仕事ができることに感謝しつつ、より良い職場環境のため、常に「足りないもの」を見つける努力をしてまいりましょう。

 さて、私事ですが、諸事情から令和7年3月31日付けでM78星雲に戻らねばならなくなり、この回を持ちまして私の話しは最終回となります。
 二年間に渡りお付き合いいただきありがとうございました。これからも遠い星から、皆様のご健勝、ご活躍を心よりお祈り申し上げます。
「人は出会いによって育てられ、人生は別れによって深められる。」

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◇「’24 治療と仕事の両立支援シンポジウム」アーカイブ配信のご案内◇

●シンポジウム 
「治療と仕事の両立支援とは?動き始めるのは会社自身、そして、労働者自身。」
●オンラインセミナー 
1回目:「治療と仕事の両立支援とは?各業種の中小企業の取組から学ぶ」
2回目:「治療と仕事の両立支援とは?労働者の経験・エピソードから学ぶ
     両立支援の進め方」

詳細→ https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/symposium/

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◇ 両立支援コーディネーター基礎研修を受講された皆様へ ◇

 メールアドレス、ご所属先など登録情報の変更がございましたら
 以下のアドレス宛てにお知らせください。

  労働者健康安全機構勤労者医療課 
  両立支援コーディネーター研修事務局
  E-mail: co-ryoritu@m.johas.go.jp

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◆ 治療と仕事の両立支援サービスについて(無料)◆

 当センターでは、治療を受けながら仕事を続けたい方、両立支援に取り組む事業場の方からの相談に応じています。
  → https://www.kyotos.johas.go.jp/ryoritsu

*出張相談窓口を開設しております。【要予約】
  ・京都大学医学部附属病院  毎月第3水曜日( 9:30~12:30)
  ・京都府立医科大学附属病院 毎月第2木曜日(10:00~12:00)
  ・京都市立病院       毎月第1金曜日(11:00~12:00)
  ・京都第二赤十字病院    随時
  ・京都第一赤十字病院    随時
  ・京都桂病院        随時
  ・京都医療センター     随時
  ・洛和会音羽病院      随時
  ・宇治徳洲会病院      随時
  ・京都山城総合医療センター 随時
  ・京都岡本記念病院     随時
  ・市立福知山市民病院    随時
  ・京都府立医科大学附属病院 北部医療センター 随時

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  促進員が事業場に赴き、お手伝いいたします。

   ・管理監督者教育への講師派遣
   ・若年労働者教育への講師派遣
   ・「こころの健康づくり計画」策定に関する支援
   ・「職場復帰支援プログラム」作成に関する支援
   ・ストレスチェック制度の導入や実施後の職場環境改善等に
    関する支援
    詳 細 →https://www.kyotos.johas.go.jp/mental

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員が事業場を訪問して健康測定・チエック、社内セミナーの実施や実技指
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