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京都産業保健総合支援センター メールマガジン156号 2014/8/1
ホームページ:http://www.kyoto-sanpo.jp
発行:京都産業保健総合支援センター 所長 森 洋一


◇京都産業保健総合支援センター ホームページ情報◇

1)粉じん障害防止規則の一部を改正する省令<2014.7.1 UP>

2)労働安全衛生法が改正されました<2014.7.1 UP>
 
3)平成25年度「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」を公表
 <2014.7.1 UP>

4)「第8回じん肺診断技術研修」の受講者を募集いたします
 <2014.7.29 UP>

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◇応急処置について◇
産業医学相談員 菱本 修

 京都も祇園祭からお盆の大文字にかけて暑い季節になりました。海、山に出かけてスポーツなどの機会も増えてきます。改めて怪我の応急処置についてお話します。打撲、捻挫、骨折などが発生した時に、病院などにかかる前に適切な処置を行うことにより外傷の治りを早めることが出来ます。逆に不適切な処置を行うと治りを遅らせたり、後遺症を残すこともあります。
 応急処置(RICE )を行います。
 受傷部位の出血、腫脹、疼痛などを防ぐ目的で行う処置です。
1)Rest(安静)
 受傷部位の出血、腫れ、二次的な筋肉、靭帯、血管、神経などの損傷を防ぐ目的で副木などで固定します。
2)Ice(冷却)
 内出血、腫脹を抑える目的で氷などで局所を冷やします。15分前後冷やし、局所の感覚が無くなったらやめて、痛みが出てきたら冷し、これを繰り返します。入浴も出血をひどくする可能性があり4~5日は控えた方が良いでしょう。
3)Compression(圧迫)
 内出血、腫脹を防ぐ目的でテーピング。包帯などで圧迫固定します。
4)Elevation(挙上)
 腫脹を防ぐ目的で受傷部位を心臓より高くあげるようにします。
 外傷が発生した時は上記の応急処置を行い、病院で診察を受けるようにしましょう。


◇小規模事業場における職場改善事例◇
 労働衛生工学相談員 桑村 明男
 
 昨年の8月、蝉の声を聞きながらある地方都市の企業を訪れた。
 金属加工を得意とする従業員11名の会社で、1階が作業場(約250平米)、2階が事務所、休憩室、更衣室の他に塗装室、資材置き場等が設けられていた。1階の作業場には工作機械が所狭しと並んでおり、通路が迷路のようで、はみ出した材料や仕掛品が行く手を阻んでいた。
 ここ数年、軽微ではあるが労災事故が毎年のように発生しているとのこと、この現場を見て然もありなんと感じた。
 知人を介して、経営者から職場巡視と4Sについて職場改善のためのアドバイスを求められた。当初、3~4回の訪問で成果が出るかと思いきや、結局半年間計7回訪問することになった。
 職場改善のポイントとして以下の2点に絞った。
①4S(整理・整頓・清掃・清潔)ではなく、まず2S(整理・整頓)に特化
②作業者の動線を重視した設備の配置と物(製品、仕掛品、材料等)の置き場改善
 
 整理・整頓は必要な物と必要でない物に分け、必要でない物は処分する、ということですが、まずこれがうまく進まない。置いておいたらいずれ使う時が来るかも知れない。と考えて置いておく。するといつの間にか不要物の山が出来る。
 会社のためを思って置いている物が実は作業効率を下げ、安全面でも問題を生じている。このことに気付くと、次は必要な物以外は購入しなくなり、作らなくなってくる。
つまり会社の風土が変わってくる。ここまで持っていくのには時間がかかりますが、大きな効果が得られる。
 次に作業者の動線の改善は、上記の2Sと並行して進める必要があり、設備の移動等も伴うので、事業主の理解が必須です。
 方法としてまず作業分析を行います。これはIE(インダストリアルエンジニアリングです。インターネットエクスプローラーではありません)の手法を用います。紙数の関係で詳細は省略しますが、この分析の結果、多くの「無駄な動き」が発見された。
 ただ、実際の職場改善に当たっては移動した方が良いと判っていても、スペースや費用、精度管理の点から断念した設備も多数あった。
 このような分析、改善を進めた結果、2階の塗装室と資材置き場を1階に移すことができ、休憩中に塗装室の臭気に曝されることなく快適な休憩時間を過ごすことができるようになったこと、また、1階の作業場では作業者の無駄な動きが減ったことや、照明設備を追加して職場を明るくしたことで作業改善の効果を実感してもらえたと思っています。当初、あまり協力的でなかった作業者の方たちも、回を追うにつれ作業がしやすくなり、次第に友好的な雰囲気が生まれ、後半はずいぶん助けていただきました。
 
 本来であれば効果の検証もしたいところですが、その後企業から特に連絡もなく、便りのないのは無事な証拠と自らに言い聞かせて、今年もまた、暑い夏がやってきました。


◇カラフルな事業所◇
メンタルヘルス対策促進員 松川 晴美
 
 ある事業所にお伺いした時のこと。入口から控室に入るまで、廊下ですれ違う従業員の方々がことごとく私の目を見て、大きな声で挨拶をしてくださいました。後で聞くと、去年から事業所全体の取り組みとして「○○さん、おはようございます」と相手の目を見て挨拶することを励行してきたそうです。
 いざ研修を実施する会場に入ってみると、受講席がやけに明るい感じがします。前方から見渡すと受講生全員、柄は同じだが思い思いの色のTシャツやポロシャツを着ています。まさにカラフル。従業員は自分の好きな色を選んで着て良いことになっているそうです。
 そして研修が始まると、常にそこここで笑いが起こり、ロールプレイもまだ新入社員と思しき従業員が率先して手を挙げ、積極的に参加します。多少の失敗は大目に見てあげよう。そんな暖かい空気に満ちている会場でした。
 そんな受講生の方々に助けていただき、研修も終わりに近づいて質疑応答の時間になっても、まだまだ沢山の感想や意見が出ました。対人援助職の事業所なので、一人一人にかかるストレス負荷は相当大きいはずなのに、いつも誰かが笑い、誰かが話していました。
 確かに、初めて会った私の前でみんなが本当の心の中を見せているとは限らないし、中には泣きたいくらいストレスを抱えている人もいるかもしれません。しかし同僚同志「目を見て挨拶をする」「話をする」「笑いあう」ことのできる職場であれば、「ちょっと今、しんどい」も言い出しやすいのではないでしょうか。
 カラフルな同僚をカラフルな同僚が支え合う。この事業所で感じた暖かさを、もっと他の事業所にも広げるお手伝いさせていただけたら、と強く感じた一日でした。


◇京都府社会保険労務士会よりお知らせ◇

1.職場環境の改善、社員の定着でお悩みの事業主のみなさまへ
 職場環境自己診断チェックシート

http://www.kyoto-sanpo.jp/checksheet.pdf

2.若者等就労環境向上推進事業(就労環境向上助成金)ご案内

http://www.kyoto-sanpo.jp/jyoseikin.pdf


◆産業保健に関する各種研修会のお知らせ◆
  http://www.kyoto-sanpo.jp/5semina/semina-s.htm
 ※7月~9月開催の研修会を掲載しています。奮ってご参加下さい。
 ※当センターが実施する「産業医研修会」について、付与できる単位は
  「生涯研修」のみとなります。
  「基礎研修」を受講される方は、京都府医師会主催の研修会を
   ご覧ください。
  http://www.kyoto.med.or.jp/member/sports/index.html

◆京都産業保健総合支援センターホームページ◆
  http://www.kyoto-sanpo.jp

◆京都産業保健総合支援センターご利用案内◆
  http://www.kyoto-sanpo.jp/3riyo/riyo.htm

◆相談のご案内◆
  http://www.kyoto-sanpo.jp/4soudan/soudan.htm

◆図書・教材のご案内◆
  http://www.kyoto-sanpo.jp/6tosyo/tosyo-a.htm

◆産業保健トピックス◆
  http://www.kyoto-sanpo.jp/8topi/topi.htm

◆メンタルヘルス対策支援サービスのご案内◆
  http://www.kyoto-sanpo.jp/mental/index.htm

◆メールマガジン(バックナンバー)◆
  http://www.kyoto-sanpo.jp/index2/merumaga/merumagaframe.htm

◆東日本大震災関連情報◆ http://www.rofuku.go.jp/higashinihon_daishinsai/tabid/422/Default.aspx


発行人:森 洋一  編集人:吉岡 宏修  info@kyoto-sanpo.jp
編集協力:京都産業保健総合支援センター産業保健相談員
発行/配信:京都産業保健総合支援センター http://www.kyoto-sanpo.jp