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京都産業保健総合支援センター メールマガジン166号 2015/6/1
ホームページ:http://www.kyoto-sanpo.jp
発行:京都産業保健総合支援センター 所長 森 洋一


◇京都産業保健総合支援センター ホームページ情報◇

1) 厚生労働省「ストレスチェック制度実施マニュアル」  <2015.5. 8UP>
2) 「受動喫煙防止対策助成金」のご案内     <2015.5.12UP>
3) 厚生労働省「ストレスチェック制度関係Q&A(5/12更新)」
                            <2015.5.18UP>
4) ストレスチェック制度サポートダイヤルのご案内     <2015.5.19UP>
5) 「ストレスチェック」実施促進のための助成金について <2015.5.20UP>
6) 「パワーハラスメント対策導入マニュアル」について」 <2015.5.21UP>
7) 職場における熱中症予防対策について          <2015.5.21UP>
8) 違法な長時間労働を繰り返している企業に対する指導・公表について
                            <2015.5.21UP>


◇6月1日からの受動喫煙防止措置の努力義務化によせて◇
 産業医学相談員  森口 次郎

 昨年公布された「労働安全衛生法の一部を改正する法律」(平成26年法律第82号)のうち、受動喫煙防止措置の努力義務が平成27年6月1日から施行されます。室内又はこれに準ずる環境下で労働者の受動喫煙を防止するため、事業場の実情に応じ適切な措置を講じることが事業者の努力義務となります。適切な措置の例として、全面禁煙、喫煙室の設置による空間分煙、たばこ煙を十分低減できる換気扇の設置などがあります。また、中小企業事業主が喫煙室を設置する場合は、費用の1/2の助成(上限200万円)を受けることができます。その助成制度の詳細についてはホームページをご覧ください。 
 この法改正の施行と時期をあわせて、5月31日には世界禁煙デー、5月31日から6月6日には禁煙週間が実施されます。WHO世界禁煙デーのテーマは
「Stop illicit trade of tobacco products」(タバコ製品の不法取引の根絶)、禁煙週間のテーマは「2020年、スモークフリーの国を目指して ~東京オリンピック・パラリンピックへ向けて~」です。法改正の周知とともに社員の喫煙習慣見直しを促す絶好の機会になると思いますので、ぜひ安全衛生委員会などを利用して啓発に努めてください。
 また、「喫煙対策の教育をしたいが、資料作りの時間が取れない」という産業保健スタッフの皆さんには、産業医科大学産業生態科学研究所健康開発科学研究室の大和浩教授のホームページが大いに役立つと思います。このホームページには、大和先生のこれまでの主要な講演が公開されて
いて、自由に利用することができます。今年4月に京都を中心に関西で開催された日本医学会総会2015関西における産業医セッションや市民公開講座での大和先生の講演スライドもいち早く公開されています。
 今回ご紹介した情報が皆さまの産業保健活動に役立てば幸いです。


 カウンセリング相談員 安元 寛子

 山に入ると、眩しいような若葉が生い茂る頃となりました。森のなかで木々の中に立っていると、それだけで心が癒される体験をする方も多いと思います。
 人間は元々、自然のなかで生活し、本来人間に備わっている五つの感覚「五感」を充 分に感じて生活していました。「五感」とは、視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚と呼ばれる感覚です。
 現代の人工的な環境の生活は本来の人間の生活とはちがい、大変なストレスを与えます。また、ストレスフルな状況は「五感」で充分に感じることを、忘れさせることも多いのではないかと思います。
 Aさんは復職後も「朝のムカつきで出勤に支障をきたす。」と症状を訴え、それ以外は寡黙なクライエントさんです。ある連休明けの日、通勤途中の公園で色とりどりのばらが一斉に咲き始めていたことに私は驚きました。その日私はそのばらについてAさんに聞きました。しかし、Aさんはその前を通って通勤しているはずなのに、きょとんとして頭を傾げました。しばらくしてAさんは話しているうちに「そういえば、あったなと言う感じ」とのことでした。
 その日のホームワークは帰り道でバラを楽しむということにしました。バラの中で好 きな色を探す、香りを嗅いでくる、刺にもちょっと触れてみる、というようなものです。 次の回にAさんは「花も好きだったな」と、ポツンと呟きました。前回はルームの外へ 出て行くことを渋ったAさんでしたが「つぼみがついたアジサイを見に行こう」と誘う と、小さなつぼみをつけ始めたアジサイの花を前にポツポツと症状以外の話をし始めました。
 このように自然に目を向けることによって「五感」が刺激され、楽しむことによって 人々のこころは広がり、やわらかくなり、ストレス改善にも役立てていけるのではない かと思います。山の中や森などに行けることは素敵ですが、遠いところに行けなくても 日々の中に出会える自然はいっぱいあると思います。
 これからは良い季節なので、ぜひ、小さな自然にも目を向け、楽しめる感性を持ち続けたいと思っています。
 


◇健康であるということ◇
 メンタルヘルス対策支援促進員 今坂 一郎 
 
人が健康であることが、個人や企業組織さらには社会にとって重要な要素であることは、改めて取り上げることではないかも知れない。しかし、巷を眺めていると、健康であるということの本質が捉えられていないように感じる。
 国連のWHO憲章前文の定義では、『健康とは、病気でないとか弱っていないということではなく、肉体的(フィジカル)にも、精神的(メンタル)にも、そして社会的(ソシアル ウエルビーング)にも、すべてが満たされた状態にあること』とされている。
(日本WHO協会訳)
 このWHO憲章の健康定義の時に、肉体的、精神的、社会的に加えて、スピリチュアルを加えたらとの提案があったが、最終的に提案が不採択となったそうである。
これらの健康条件のうちの肉体的、精神的、社会的の3条件は、
 ①肉体的に満たされた状態:病がない、虚弱でないなど
 ②精神的に満たされた状態:不安がない、悩みがないなど
 ③社会的に満たされた状態:社会適応ができている、貧困や差別がないなど  といえる。
 不採択となったスピリチュアルは、日本ではメンタルと同じように精神的と訳されることが多いが、私はこれを霊性的と訳してみたい。霊性的と聞けば宗教的なものがイメージされるが、人間の心には神の啓示を受け取る性能が備わっており、人が答を見つけられない究極の状態に立ち尽くした時、この性能が働くようになる。この働きによって結果的にストレスが軽減するものと私は考えている。
人間尊厳にかかわるこの捉え方を敷衍すれば、
 ④霊性的(スピリチュアル)に満たされた状態:人間としての尊厳や生きがいを感じて生きている状態、
といえる。
肉体的、精神的、社会的という3条件にとどまらず、スピリチュアルまで一歩踏み込んで考えると、健康であることの本質がより明らかになる。ひいては働くうえでの健康もこれに尽きると考えている。



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