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京都産業保健総合支援センター メールマガジン167号 2015/7/1
ホームページ:http://www.kyoto-sanpo.jp
発行:京都産業保健総合支援センター 所長 森 洋一


◇京都産業保健総合支援センター ホームページ情報◇
1)産業医学専門講習会のおしらせ <2015.6. 5UP>
2)平成26年度「過労死等の労災補償状況」を公表<2015.6.30UP>


◇化学物質リスクアセスメントの義務化◇
  産業医学相談員 坂本 史彦

労働安全衛生法の一部を改正する法律(平成 26 年法律第 82 号)のうち、化学物質管理 の在り方の見直しに関する改正事項(化学物質リスクアセスメントの義務化)の施行時期 が、平成 28 年 6 月1日となる予定ですが、皆様ご存知でしょうか?
また、ご準備は整えられていらっしゃいますでしょうか?

「表示義務対象物の範囲の拡大」
 譲渡または提供の際に名称等の表示が義務付けられる表示対象物について、現行の 104物質から、労働安全衛生法施行令別表第 9 に掲げる通知(SDS 交付)対象物(現行 640物質:http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/130813-01-02.pdf 参考) まで拡大されます。
それに伴い
「表示義務に係る固形物の適用除外の創設」
イットリウム、インジウム、カドミウム、銀、クロム、コバルト、すず、タリウム、タ ングステン、タンタル、銅、鉛、ニッケル、白金、ハフニウム、フェロバナジウム、マ ンガン、モリブデンまたはロジウムの単体については、粉状のものを除き、名称等の表示を不要とされます。

<労働安全衛生規則及び産業安全専門官及び労働衛生専門官規程の一部を改正する省令 案> ※ 平成28年6月1日施行予定 (一部抜粋)

化学物質のリスクアセスメント(危険性または有害性等の調査)に係る規定の整備

(1)リスクアセスメントの実施時期について
イ:調査対象物を新規に採用し、または変更するとき。
ロ:調査対象物を製造し、または取り扱う業務に係る作業の方法または手順を新規に採用し、または変更するとき。
ハ:上記イまたはロのほか、調査対象物による危険性または有害性等について変化が生じ、または生ずるおそれがあるとき。

(2)リスクアセスメントの実施方法について
 リスクアセスメントは、対象物を製造し、または取り扱う業務ごとに、以下のいずれかの方法または、これらの方法の併用により行います。
イ:調査対象物が労働者に危険を及ぼし、または健康障害を生ずるおそれの程度(発生可能性)及び当該危険または健康障害の程度(重篤度)を考慮する方法。
ロ:労働者が調査対象物にさらされる程度(ばく露濃度等)及び当該調査対象物の有害性の程度(許容濃度等)を考慮する方法。
ハ:その他、イまたはロに準じる方法。

(3)リスクアセスメント結果の労働者への周知について
 事業者は、リスクアセスメントの結果などを、作業場の見やすい場所に常時掲示することなどにより、労働者に周知しなければならないこととされます。

 上述は法改正の一部を抜粋したものですが、経営者に課せられる「化学物質リスクア セスメント」はさらに範囲が広くなります。従業員の皆様が、より衛生的で健康に働け る場をご提供できますように、産業保健総合支援センターを今後もご活用していただけますと幸いに思います。


◇法律改正の交付と施行について◇
  労働衛生工学相談員 髙田 志郎

 通勤途上にある交番の前に、おまわりさんが立っていました。そこへ、妙齢の女性が自転車に乗って通りかかりました。おまわりさんは、おもむろに女性に話しかけました。
「この歩道は、自転車に乗って走ることはできません。歩いて押すか、車道の左端を走ってください。」と。言われた女性は、「いつもこの歩道を走っていたのに、なんで今日はこんなことを言われなくてはならないのか。」と思いながらも、歩いて押すことにしたようです。
 そうです。一昨年の12月に改正された道路交通法はこの6月1日から施行されました。
つまり、改正された内容が6月1日から効力を発揮することになりました。しかし、納得できません。これまでの1年半の間、何の指導もなくて、施行日になったとたん、急に降りろとか車道を走れと言われたら、だれでもびっくりします。特に、この通りを通勤または通学に利用している人たちにとってはたまったものではありません。しかも、繰り返すと罰金だとか講習を受けてもらうなど言われると。
 場所は変わって某国立大学の近くの交差点。この交差点に接する歩道はすべて例外的に自転車の走行が許可されています。この交差点では、学生のマナーを正すために、かなり以前から交通指導員が4つの角に配置され、自転車が歩道を走る際の走り方(歩道の車道寄りを走る)および車道を横断するときの走り方(自転車専用のレーンを走る)を厳しく指導するとともに、歩行者についても横断歩道から外れないように指導していました。毎日実施していますが、それでも指導員に注意されながら歩いたり走ったりしているのが実情です。
 さて、労働安全衛生法についてはどうでしょうか。多くの人がすでにご存じのように、昨年は多岐にわたって改正され、しかもその施行日がまちまちなために混乱を招いているのではないかと心配しています。あるいは、前述のように、施行されるまでは知らんぷりを決め込むのではないかと心配している次第です。すでに施行されているものは別にして、今年の12月1日施行の「ストレスチェックの実施」および来年6月施行の「化学物質のリスクアセスメントの実施」については、本当に難しい問題がいっぱいです。
「ストレスチェック」については、マニュアルが公表されましたが、170ページに及ぶ長編ものです。マニュアルの読み方についての講習会が必要になりそうです。一方、「リスクアセスメント」については、そんなに慌てることはないと思われているかも知れませんが、事業場の中で取扱っている物質が、640物質に含まれているかどうかを調査するだけでも、かなりの時間を要することが考えられます。この秋には、もう少し詳しい情報が提供されるということですが、衛生管理者としては、できるだけ早くスタートして、施行に備えることをお勧めします。
 


 メンタルヘルス対策支援促進員  金丸 京子 
 
 先日、ある弁護士の労働関係に関する勉強会を受講しました。その中で、「パタハラ」(パタニティハラスメント)という耳慣れない言葉に関心を持ちました。
 「パタニティ(=父性=Paternity)ハラスメント」とは、男性労働者が育児のために休業等をとることを経営者や上司が妨げる行為をいいます。
 育児・介護休業法第10条には、「育児休業を取得したことを理由として、解雇その他の不利益な取り扱いをしてはならない」と定められています。
 とはいうものの、実際に男性労働者が育児休業を取得している率はわずか2.03%(内閣府2014年度6月速報値による)。しかもこの中には数日間程度の取得に終わっているケースも多く、数ヶ月にわたる取得者はかなり少ないと考えられます。
 男性が育児休暇を取りにくいのは、主たる家計の担い手である場合、長期取得による収入減という経済的な事情があります。その他、男性が配偶者の出産に際して仕事を後回しにするなんて考えられないといった価値観を持つ経営者や上司、あるいは同僚の理解を得にくいなどということもあるでしょう。
 厚生労働省が2015年6月5日に発表した2014年の人口動態統計では、合計特殊出生率は1.42と9年ぶりに低下。晩婚・晩産が一段と進み、人口減少も大幅に増えました。
 しかし、政府の調査では、産みやすく育てやすい環境が整いさえすれば、出生率は1.8程度まで改善するという結果もでています。
 政府は、2015年3月の閣議決定した少子化大綱で、子育て支援を拡充する方針を明記。働く男性の1割以上が育児休業を取得できるようにする働き方改革を推進する方針も打ち出しています。
 共に働く者同士が手を携えて、お互いの事情に、お互い様の気持ちで、育児や介護、あるいは看護を担う同僚に、あたたかい応援・支援ができるような「働きやすい、働きがいのある」職場づくりの一助になれるよう、微力ながら心を込めてメンタルヘルス対策促進活動をしていきたいと思っています。


独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構
     京都支部 京都障害者職業センターより

うつ病などで休職中の方のスムーズな職場復帰をサポートします
リワーク(職場復帰)支援のご案内

 当センターでは、主としてうつ病等の精神疾患により休職している方、その方の復職を考えている事業主に対して、主治医等と連携しながら職場に戻るためのウォーミングアップを行い、円滑に職場復帰していただくための支援プログラム<リワーク支援>を実施しております。
 支援期間やカリキュラムは目標に応じて個別に設定します。標準的な支援期間は3カ月程度です。(利用は無料です)
 詳細は当センターホームページの「リワーク支援」のご案内をご覧ください。
 HPはこちら↓
 http://www.jeed.or.jp/location/chiiki/kyoto/26_kyoto_service1.html
 
 また以下のとおり、事業主様向けの見学会等を開催していますので、ご利用をご検討される場合は是非一度お越しください。

□リワーク支援見学会(事業主様向け)
 利用を検討される事業主様は直接当センターまでお電話下さるか、「リワー ク支援見学会」(隔月1回開催)へお越しください。(詳細はHPをご覧  ください。)
 「リワーク支援見学会」へのご参加をご希望される場合は、HP掲載の「参 加申込書」(リワーク支援見学会のご案内に添付)によりFAX(075-341-2678)  またはe-mail(kyoto-ctr@jeed.or.jp)にてお申し込みください。

□リワーク支援説明会(休職されている方向け)
 事業所の方と休職されている方が一緒に参加を希望される場合は、休職者向 けの「リワーク支援説明会」(月2回開催)にお越しください。(詳細はH Pをご覧ください。)

□京都障害者職業センターhp
 www.jeed.or.jp/location/chiiki/kyoto/

□リワーク支援のご案内
 http://www.jeed.or.jp/location/chiiki/kyoto/26_kyoto_service1.html



◆産業保健に関する各種研修会のお知らせ◆
  http://www.kyoto-sanpo.jp/5semina/semina-s.htm
 ※7月~9月開催の研修会を掲載しています。奮ってご参加下さい。
 ※当センターが実施する「産業医研修会」について、付与できる単位は
  「生涯研修」のみとなります。
  「基礎研修」を受講される方は、京都府医師会主催の研修会を
   ご覧ください。
  http://www.kyoto.med.or.jp/member/sports/index.html

◆京都産業保健総合支援センターホームページ◆
  http://www.kyoto-sanpo.jp

◆京都産業保健総合支援センターご利用案内◆
  http://www.kyoto-sanpo.jp/3riyo/riyo.htm

◆相談のご案内◆
  http://www.kyoto-sanpo.jp/4soudan/soudan.htm

◆図書・教材のご案内◆
  http://www.kyoto-sanpo.jp/6tosyo/tosyo-a.htm

◆産業保健トピックス◆
  http://www.kyoto-sanpo.jp/8topi/topi.htm

◆メンタルヘルス対策支援サービスのご案内◆
  http://www.kyoto-sanpo.jp/mental/index.htm

◆メールマガジン(バックナンバー)◆
  http://www.kyoto-sanpo.jp/index2/merumaga/merumagaframe.htm

◆東日本大震災関連情報◆ http://www.rofuku.go.jp/higashinihon_daishinsai/tabid/422/Default.aspx


発行人:森 洋一  編集人:真下 尚之  info@kyoto-sanpo.jp
編集協力:京都産業保健総合支援センター産業保健相談員
発行/配信:京都産業保健総合支援センター http://www.kyoto-sanpo.jp