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京都産業保健総合支援センター メールマガジン168号 2015/8/3
ホームページ:http://www.kyoto-sanpo.jp
発行:京都産業保健総合支援センター 所長 森 洋一


◇京都産業保健総合支援センター ホームページ情報◇
1)「粉じん障害防止規則及びじん肺法施行規則の一部を改正する省令案要綱」の諮問と答申 <2015.7. 9UP>
2)平成27年度「全国労働衛生週間」を10月に実施 <2015.7.21UP>
3)精神障害が請求、認定ともに過去最多-厚労省調査 <2015.7.30UP>
4)ナフタレンとリフラクトリーセラミックファイバーを特定化学物質として規制 <2015.7.30UP>


◇体調不良がもたらす企業の損失とストレスチェックおよびデータヘルスの活用◇
  労働衛生工学相談員 桑村 明男

納期が遅れがち、受注が減る、残業が増える、決済が遅れる、書類の回覧が遅い、労災が増える、接客が雑になる、提案件数が減る・・・、多くの企業においてこのよう状況が日常的に少なからず発生しているのではないでしょうか。それを単なるサボリだ、仕事には波があるから、能力の問題だ、教育が不十分だ、と片付けていませんか?
 確かにそうしたことが原因となっていることもあるでしょう。しかし、さらに追究していくとそこには、ストレス、片頭痛、腰痛、軽うつ病、風邪、アレルギー性鼻炎、関節炎・・・といった病気が隠れていることも少なくありません。例えば、春先の決算時期になると残業が増える、まあ決算業務は大変だから仕方ない。いやいや、よく観察したら鼻をかんだり、目薬を差したり、マスクをしているので息苦しそう、何だか眠そうにしている人もいます。誰も欠勤することなく職場にいますが、なかなか決算がまとまらない。
 出勤しているにも関わらず、心身の健康上の問題により、充分にパフォーマンスが上がらない状態を「プレゼンティズム」と言います。これは1955 年にアメリカの Aurenにより造られた言葉で、現在は一般的に使用されている概念です。
 春先の花粉症のみならず、最近はストレスによるメンタル不調で、出勤しているけれど仕事に集中できず捗らない、パワハラ上司がいてしんどいけど休めない、でも仕事はこなせない、といった訴えをよく耳にします。このような状況を放置すると、職場の効率低下のみならず、企業活動全体に影響が拡がることになりかねません。
 本来であれば労働者が不調を感じたとき、健康を取り戻すためには適切な休養を取るか、適切な治療を受けるか、あるいはその両方を実行することが必要です。
本年度より、企業と健保組合とのコラボによる保健事業「データヘルス」がスタートしました。これは、健診データや医療費などの客観的な情報をもとに、効果的な保健事業を企業・健保組合が連携して実施するものです。
 今まであまり対策されてこなかったプレゼンティズムという状況。その影響が経済的な損失として算出しにくいといった面があり注目されませんでしたが、最近いろいろな研究機関でプレゼンティズム尺度を開発していると言うことを聞きます。今後、このような尺度を利用して分析し、対策を立て実行する、といったことが企業の安全衛生活動の中心になってきます。
 本年度から義務化された「ストレスチェック」、そしてもう一つ、「データヘルス」を十分に活用し対策を取ることが大切だと思います。
 


◇ストレスコーピング◇
 メンタルヘルス対策支援促進員  武田 理栄子
 
 カウンセラーも不調に陥ります。人間関係、家族間の軋轢、健康不安や将来不安とストレスの原因は減ることがありません。
 ストレスの緩和策としてスポーツが効果的なことは知られていますが、その運動が自分に適したものかどうかは検証してみる必要があります。先日、「自分は水泳が好きなのだが、水泳をやっても一向にストレスが解消されない・・・・」という相談を受けました。私もストレス解消に「ウオーキング、ジョギング、ヨガ」と試してみるものの、「悩み」が頭の中に居続けて、二重に疲れてしまうことがあるのです。どうやら、私の場合は頭の中が空っぽになる運動でないとストレス発散がうまく行かないようなのです。頭の中が空っぽにするには手足をアチコチに動かすフィットネスが適しているようです。インストラクターの動作を観察して、手足の動きに司令を出すのに必死ですから、運動 が終わったころには「頭の中」の「悩み」はしばらくどこかに飛んでいってしまいます。
 もう一つのおススメは野菜の栽培です。農作業は脳に柔らかな刺激を与えます。トマトやキュウリ、オクラなど実のつく野菜がおすすめです。植木鉢やプランターでの栽培でも、気持ちが静まります。そして不思議と自分が自然界の一部だと体感できるのです。 種をまく、植える、水をやる、手を加えていくにつれて、野菜が成長していく様は柔らかな刺激を得られ、それが癒しにもなっていきます。お試し下さい。


◇ストレスチェック制度について◇

「こころの耳」に「ストレスチェック制度」についてまとめられています。
 制度に関する新着情報をチェックできます。
  http://kokoro.mhlw.go.jp/etc/kaiseianeihou.html
 



◆産業保健に関する各種研修会のお知らせ◆
  http://www.kyoto-sanpo.jp/5semina/semina-s.htm
 ※8月~10(一部)月開催の研修会を掲載しています。奮ってご参加下さい。
 ※当センターが実施する「産業医研修会」について、付与できる単位は
  「生涯研修」のみとなります。
  「基礎研修」を受講される方は、京都府医師会主催の研修会を
   ご覧ください。
  http://www.kyoto.med.or.jp/member/sports/index.html

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発行人:森 洋一  編集人:真下 尚之  info@kyoto-sanpo.jp
編集協力:京都産業保健総合支援センター産業保健相談員
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