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京都産業保健総合支援センター メールマガジン169号 2015/9/1
ホームページ:http://www.kyoto-sanpo.jp
発行:京都産業保健総合支援センター 所長 森 洋一


◇京都産業保健総合支援センター ホームページ情報◇

1)厚生労働省 ストレスチェック制度関連情報 <2015.8.4UP>


◇「睡眠とメンタルヘルス」~サマータイム体験から考えたこと~◇
  カウンセリング相談員 伊東 眞行

 この夏、スペインへの自由旅行をしてきました。スペインへ行って一番驚いたのは、サマータイムを体験したことでした。朝のスタートの感覚は同じですが、夕方以後の時間が非常に長く、10時頃まで明るい時間が続くことでした。夕方になると、町中に路上レストランが出現し、途方もなく大勢の老若男女が湧いて出て、楽しそうに時間を忘れたかのように歓談していました。ようやくうす暗くなる10時は宵の口で、夜中の12時頃になっても、地下鉄では小さな子供連れの人を見かけました。サマータイムは夜更かしを助長するように思えましたが、スペインではシエスタという昼寝の習慣があるとのことで、トータルでは、睡眠のバランスをとっているのかもしれません。ただ、都会ではこの習慣は減っているようですが、長い昼休みは確保されています。
 2009年のOECD報告書によれば、フランス・アメリカ・スペインは睡眠時間上位に位置し、日本や韓国は下位に位置しています。スペインは毎晩お祭りのような陽気で楽しそうな社会に見えましたが、ちなみにスペインの自殺率は日本よりはるかに低いです。
 OECD加盟国の中でサマータイムを実施していないのは、日本、韓国、アイスランドだけとのこと。(アイスランドは白夜のため、サマータイムを実施する意味がない)
 日本ではサマータイムについては賛否両論があります。省エネ対策になるとか、アフターファイブに趣味などの時間を持つことができるなどの効用が言われています。私自身は個人的には興味があり体験してみたい思いがあります。しかし、日本人は長くなるアフターファイブの時間を残業に使ってしまうのでは、とマイナス面が語られます。また、標準時間からサマータイムへの切り替え時に生体リズムを乱し、心身のコンディションを崩す人がいるかもしれません。
 日本睡眠学会は「サマータイム~健康に与える影響~」(2012年)
   http://www.jssr.jp/data/pdf/summertime_booklet_0507.pdf
の中で、夜型社会の日本でサマータイムを導入すると、「夜更かし早起き」になり、睡眠時間が減ってしまうのではないか、と危惧しています。とかく働きすぎ、過重労働となりがちな日本での導入は、かなりその弊害を防ぐような手立てが必要のようです。
 日本では、店舗の深夜営業やテレビの常時放送、深夜のメール返信など、夜更かし・睡眠不足につながるような生活習慣が当たり前になっています。これは睡眠リズムに影響を及ぼしていると思われ、サマータイム以前のマクロなメンタルヘルス対策として、考慮すべき課題ではないかと思われます。
 今回の旅行では、往路は時差ボケの弊害は感じませんでしたが、時間が前倒しになる復路の時差ボケがきつく、帰国後1週間たっても睡眠リズムが安定せず、心身の健康維持に苦労しました。そして、睡眠やメンタルヘルスについて考える機会にもなりました。 


◇良い睡眠のためには、環境づくりも重要です◇
 メンタルヘルス対策支援促進員  三岡 千賀子
 
 寝苦しい暑さもピークを越えたようですが、睡眠は十分でしょうか?
 昨年改定された「睡眠指針2014」(厚生労働省)は、ライフステージ・ライフスタイル 別、生活習慣病やこころの健康に関する記載があり、参考資料では科学的根拠が提示さ れています。

≪健康づくりのための睡眠指針2014 ~睡眠12箇条~≫
1.良い睡眠で、からだもこころも健康に。
2.適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。
3.良い睡眠は、生活習慣病予防につながります。
4.睡眠による休養感は、こころの健康に重要です。
5.年齢や季節に応じて、ひるまの眠気で困らない程度の睡眠を。
6.良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。
7.若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ。
8.勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。
9.熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度な運動で良い睡眠。
10.眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。
11.いつもと違う睡眠には、要注意。
12.眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。

 睡眠環境は、睡眠の質と関係することから、寝室の温度、湿度、騒音、光、寝具、寝 衣などについては季節に応じた環境を整えることが大切です。
 環境温が低過ぎると、手足の血管が収縮して皮膚から熱を逃がさず体温を保とうとし ますが、温度や湿度があまり高いと発汗による体温調節がうまくいかず、皮膚から熱が 逃げていきません。高過ぎても低過ぎても、身体内部の温度が効率的に調整されないために、寝つきが悪くなります。寝具・寝衣を用いて就寝する場合の許容室温範囲は 13~29℃、寝床内で身体近傍の温度が33℃前後になっていれば、睡眠の質的低下はみら れないとされています。温度や湿度は、季節に応じて心地よいと感じられる程度に調整 しましょう。   就寝前の寝室の照明が明る過ぎたり、明るさが同じでも青白い光や白っぽい光の場合、 白熱電球のような暖色系の光と比べて、覚醒作用が強く睡眠の質が低下します。就寝時 には、必ずしも真っ暗にする必要はありませんが、自分が不安を感じない程度の暗さに することも大切です。
 夜間の騒音は、暗く無音で過ごすなど感覚刺激が極端に少ない条件では、反対に覚醒 度が高まり、物音などの些細な刺激が気になったり、不安や緊張が高まることから注意 が必要です。気になる音はできる範囲で遮断する方がよいでしょう。

「良い睡眠で、からだもこころも健康に」
「睡眠指針」を読み返してみられてはいかがでしょうか。


◇ストレスチェック制度について◇

「こころの耳」に「ストレスチェック制度」についてまとめられています。
 制度に関する新着情報をチェックできます。
  http://kokoro.mhlw.go.jp/etc/kaiseianeihou.html



◆産業保健に関する各種研修会のお知らせ◆
  http://www.kyoto-sanpo.jp/5semina/semina-s.htm
 ※9月~12月開催の研修会を掲載しています。奮ってご参加下さい。
 ※当センターが実施する「産業医研修会」について、付与できる単位は
  「生涯研修」のみとなります。
  「基礎研修」を受講される方は、京都府医師会主催の研修会を
   ご覧ください。
  http://www.kyoto.med.or.jp/member/sports/index.html

◆京都産業保健総合支援センターホームページ◆
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◆京都産業保健総合支援センターご利用案内◆
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◆相談のご案内◆
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◆東日本大震災関連情報◆ http://www.rofuku.go.jp/higashinihon_daishinsai/tabid/422/Default.aspx


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編集協力:京都産業保健総合支援センター産業保健相談員
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