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京都産業保健総合支援センター メールマガジン173号 2016/1/4
ホームページ:http://www.kyoto-sanpo.jp
発行:京都産業保健総合支援センター 所長 森 洋一


◇京都産業保健総合支援センター ホームページ情報◇

1) 「ストレスチェック制度解説セミナー (京都会場1月20日)」のご案内
                           <2015.12.14UP>


◇ 新年のご挨拶 ◇

 新年 明けましておめでとうございます。
 旧年中は、京都産業保健総合支援センターの事業運営にご理解、ご支援を賜り厚く御礼申し上げます。
 本年も産業保健スタッフの皆様の活動を支援するため、研修、相談対応、情報提供などの事業を効果的かつ積極的に展開して参ります。
 このメールマガジンにつきましても、皆様のお役に立ちますよう内容の充実に努めて参りますので、今後ともご愛読の程、宜しくお願い申し上げます。



◇ 脳心血管病予防に関する包括的リスク管理チャート ◇

  産業医学相談員  酒井 泰彦

 明けましておめでとうございます。
 昨年は正月の大雪に始まり、各地の火山噴火や水害、選挙権を18歳から認める改正公職選挙法や集団的自衛権を認める安保法の可決、オリンピックのエンブレムに国立競技場問題、マイナンバー騒動など、何かと大きな話題の多い一年でした。産業保健の分野でも、改正受動喫煙法の施行やストレスチェック制度制定のほか、年末になって芳香族アミンによる膀胱がんの集団発生や居酒屋チェーンの過労死和解などのニュースも飛び込んできました。さて今年は何がおこるやら…。

 ここ数年来、健診の基準値に関する質問や相談を受ける事が増え、機会がある毎に、基準値の基になっている現行のガイドラインや、その根拠となったエビデンスなどについてお話するようにしてきました。特に高血圧と高LDLコレステロールについては、一昨年、人間ドック学会と称する団体が科学的な根拠なく「基準を緩めます」などという誤った宣言を行ったため、健診の現場が少なからず混乱したのは記憶に新しいところです。その後この宣言は、日本医学会に所属する各専門学会などの猛抗議を受けて撤回されましたが、健診での有所見者を減らしたいと思っている一部の人々の間には、基準さえ緩められればという気持ちが根強く残っているようです。ガイドラインの内容は、それぞれの領域の専門家にとっては常識であっても、専門外の医師やコメディカル、あるいは非医療職にとっては当たり前ではなく、その根拠を丁寧に説明しなければ判ってもらえない事も少なくありません。テレビや新聞・雑誌・インターネットなど、玉石混交の膨大な情報の中で、ともすれば誤った内容を信じてしまい、私のような一介の相談員の意見などには聴く耳を持たないという方もおられます。

 そんな中、日本内科学会を中心とした11学会と日本医師会、日本医学会が共同作業で「脳心血管病予防に関する包括的リスク管理チャート2015」というものを作成して昨年4月に公開しました(日本内科学会誌104巻4号)。脳心血管病に関連の深い学会のガイドラインを統合して作成されたもので、健診結果の評価に必要な正しい情報がコンパクトにまとめられています。日本内科学会のウェブサイトにも、根拠となった文献や解説と併せて公開されていますから、健診の事後措置に関わる方や、労災二次健診の対象になった方には、是非ご一読をお願いしたいものです。( http://www.naika.or.jp/info/crmcfpoccd/ )
 えっ! ストレスチェックの準備でそこどころじゃない?
 今年もよろしくお願い申し上げます。


◇ ストレスチェックの雑感 ◇
  メンタルヘルス対策促進員  西村 和記

 メンタルヘルス対策促進員の同僚に「ストレスチェックを実施すると言われて、素直に回答しますか?」と尋ねられ、私は天真爛漫なところがありますので、「全然素直に回答しますよ。むしろ結果が返ってくるのが楽しみです。」と答えました。彼から「制度として秘密が守られ、実施者も会社ではないわけですが、それでも会社が結果を知るかもしれないじゃないですか。自分のストレス耐性が疑われるかもしれないわけですよ。」と畳み掛けられますと、「そこまで言われてみると、まともに答えるのはためらわれますねー。設問ごとに当たり障りのない回答にするかも・・。」とその場ではあっさりと答えが変わ
ってしまいました。私は「そんな考えもありえるのですねー。」と申しましたが、 同時にそのように考える方も一定数はいらっしゃるのだろうと思いました。
 そう思うと、逆にストレス点数が高い結果の場合は、作為的に回答したのでなく、素直な回答なのだろうと思います。わざわざ高く答えて注目を受けようという方は、まずおられないでしょう。そういう方に面接の機会を与えているのは意義深いと思います。
 また集団分析によって、社内の集団ごとの状況を知ることもできます。厚生労働省版ストレス実施プログラムにより「仕事のストレス判定図」が作成されます。これは仕事のコントロール、量的負担、上司、同僚の支援の4つの項目から算出され、「健康リスク」の「総合」値が、例えば120なら健康リスクが通常より20%高く、何らかの問題が職場で生じている場合が多いとされます。これら4つの項目以外の尺度も全国平均や社内平均と比較するなどの利用も意義深いでしょう。
  ちなみに全ての設問で理想的な回答となる集団の場合、その健康リスクの数値は19となり、全てで最悪と回答した場合の健康リスクは495となります。どちらも現実にはありえないだろう数値ですが、好奇心から計算してみました。


◇ストレスチェック制度について◇

*「こころの耳」に「ストレスチェック制度」についてまとめられています
  制度に関する新着情報をチェックできます。
→ http://kokoro.mhlw.go.jp/etc/kaiseianeihou.html

*「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」が公開されました。  → http://stresscheck.mhlw.go.jp/  

*「長時間労働者、高ストレス者への面接指導に関する報告書・意見書作成
  マニュアル」が公表されました。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/manual.html
       


◆産業保健に関する各種研修会のお知らせ◆
  http://www.kyoto-sanpo.jp/5semina/semina-s.htm
 ※1月~3月開催の研修会を掲載しています。奮ってご参加下さい。
 ※当センターが実施する「産業医研修会」について、付与できる単位は
  「生涯研修」のみとなります。
  「基礎研修」を受講される方は、京都府医師会主催の研修会を
   ご覧ください。
  http://www.kyoto.med.or.jp/member/sports/index.html

◆京都産業保健総合支援センターホームページ◆
  http://www.kyoto-sanpo.jp

◆京都産業保健総合支援センターご利用案内◆
  http://www.kyoto-sanpo.jp/3riyo/riyo.htm

◆相談のご案内◆
  http://www.kyoto-sanpo.jp/4soudan/soudan.htm

◆図書・教材のご案内◆
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◆産業保健トピックス◆
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◆メンタルヘルス対策支援サービスのご案内◆
  http://www.kyoto-sanpo.jp/mental/index.htm

◆メールマガジン(バックナンバー)◆
  http://www.kyoto-sanpo.jp/index2/merumaga/merumagaframe.htm

◆東日本大震災関連情報◆ http://www.rofuku.go.jp/higashinihon_daishinsai/tabid/422/Default.aspx


発行人:森 洋一  編集人:真下 尚之  info@kyoto-sanpo.jp
編集協力:京都産業保健総合支援センター産業保健相談員
発行/配信:京都産業保健総合支援センター http://www.kyoto-sanpo.jp