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京都産業保健総合支援センター メールマガジン174号 2016/2/1
ホームページ:http://www.kyoto-sanpo.jp
発行:京都産業保健総合支援センター 所長 森 洋一


◇京都産業保健総合支援センター ホームページ情報◇

1)有害物ばく露作業報告(平成29年度報告)について  <2016.1.20UP>


◇ お酒を愛するならば ◇
   産業医学相談員 山田 達治

 私は製造業本社の専属産業医を勤めています。今年度から、2つの子会社が同じ機関で健康診断を受けるようになり、揃ったデータが入手できるようになったので、本社を含めた3社で有所見率などを比較してみました。IT系のA社は、年齢層が非常に若いこともあって有所見率は低くなっています。 ところが、営業販売に特化したB社は、生活習慣病の有所見率が明らかに高いのです。特に高血圧で著明な差が出ています。年齢構成は本社と変わらないので奇妙に思えます。そこで、健診機関から問診票のデータも取り寄せ、本社とB社で比較してみました。
 肥満、睡眠不足、飲酒の量や頻度、運動習慣など、血圧に直接影響を及ぼしそうな因子には有意差が出ていません。他の生活様式まで広げてみると、「就寝2時間以内に夕食を摂ることが週に3日以上ある」という項目のみ、本社とB社の間で、ある程度の差が認められました。営業販売部門に固有の理由があるのかもしれません。
 さらに詳しく調べると、遅い夕食は飲酒習慣との関連があります。ほとんど飲酒をしない人を基準にすると、 遅い夕食になる確率が時々飲酒をする人では1.9倍、頻繁に飲酒する人では3.9倍になります。 また、遅い夕食が多い人は、そうでない人に比べ、体重が10KG以上増加している確率が1.5倍になります。
 アルコールと血圧の関係は複雑です。飲酒すると短期的には血圧は低くなる場合もありますが、やはり長期の飲酒習慣や多量の飲酒は血圧を上昇させると言われています。単純にアルコールがもたらす生理学的影響だけでなく、食事の時間が遅くなるという行動の変化があり、それが日常化すると肥満になる。飲酒と血圧の関係は、生活様式や体質の変化を含めて重層的にとらえるべきなのでしょう。

 お酒が好きな方にとって、 飲酒を控えることは容易ではないかもしれません。私は下戸ですが、気持ちは分かります。甘いものが大好きな私は、多忙とストレスの中、いつの間にか糖分の中毒になっていた時期があります。当時は好きで食べているつもりでしたが、実態は依存症でした。一念発起して間食を生野菜やナッツに切り替え、糖質中毒を脱してからは、あのような食べ方ではせっかくのチョコレートも少しも楽しめてはいなかったと気づきました。ストレスに駆られてムシャムシャ食べてしまうというのはスイーツを愛する人間として恥ずべきこと、チョコレートに対する冒涜ですらあります。
 この経験から私は常々、弊社の従業員たちにこう言うようにしています。
 ストレスと惰性で毎日安い酒を飲むなんて、お酒の神様に失礼です。お酒を愛するのであれば、ときどき良い肴を用意して、頑張った自分への御褒美に、とっておきのお酒を楽しむ習慣をつけてはどうでしょうか。惰性の飲酒を我慢している分だけ、格別美味しく感じられるはずです。


◇ ストレスの対処について考えたこと ◇
  メンタルヘルス対策促進員 岩澤 正明

早いもので、新年のご挨拶をしたと思ったら、もう2月です。 昔から2月は「去る」といわれます。正月気分が抜けきれない間に、過ぎ去って行くことになりそうです。
昨今のニュースでは、米国利上げの今後の影響、中国経済の不振、原油価格の急落に伴う資源国経済の財政や金融的なリスクなど、先行きの経済状況への不安材料が多く掲載されています。社会面では、多くの若者の命が失われたショッキングなスキーバスの転落事故報道など、悪いニュースが続きます。今年はいい年になるよう祈ったことが、打ち砕かれそうになったのは私だけではないと思います。
日常遭遇する些細なできごとにおいても、その場面で怒りや悲しみ、不愉快な気分になることがあり、誰もが経験することではあります。
先日のできごとをご紹介いたします。神奈川県鎌倉へ帰省途中のことです。
駅で周りの人と同じように電車を並んで待っていたところ、電車が到着するや否や、 突然、私の前に高齢の女性が割り込んできたのが1回目です。 2回目は、福知山へ研修で出張へ行く朝でした。京都駅で同様な割り込みに遭遇しました。 その矢先、3回目はデパートで買い物しているときに並んでいるときに、割り込まれたのです。共通するのは人生経験豊富そうな高齢な方々です。このときはさすがに「怒り」がこみあげました。
「皆様方は、こうした場面ではどう対処しますか?」
自分の怒りを相手にぶつけスッキリしたいという方もおられるでしょう。そう自分の主張もしながら、相手に自分の気持ちを伝えたい。これができないと悶々した気分を引きずってしまうことにも繋がる方もおられるでしょう。
こうした場面で一言「皆さん順番をお待ちですよ、お急ぎなんですか?」と言ってみましょうか。
自分はどう考えたかというと「お急ぎの理由があったのでしょう(体調が悪く早く座りたいなど)」と自分が、相手より優位にたてるように考えました。争いを避け、軽く流しておこうと、一呼吸おいて気持ちを落ち着かせました。
日常のこうした小さなできごとでストレスが積み重り、それを職場に持込むと、業務の些細なミスやトラブル、ちょっとした人間関係でのいざこざが大きなストレスに膨れ上がってしまうことにもなりかねないわけです。
ストレスは溜め込まずに。小まめに発散することが肝要です。「忙しくてそれどころではないよ!」という声が聞こえそうですが。短時間でいいのです。
区切りをつけて自分なりの気分転換を図ってみることが有効ではないでしょうか。仲間とちょっとした会話で気分を変えられることもあると思います。
ストレスも全てが悪ではありません、カナダのセリエ博士の「ストレスは人生のスパイス」の言葉どおりです。仕事、勉強など、プレッシャーがある程度ないと、意欲が湧かずチャレンジもしないし、成長もあり得ない。ストレスが全くなければ、人間は動かなくなってしまうことでしょう。
サッカーの例をあげれば、大事な決勝戦でチーム全員がプレッシャーを感じながら試合に挑んでいるときに、熱狂的なサポーター応援も相まって、試合に勝利すればストレスも吹っ飛ぶことでしょう。負けても「気持ちを切り替え」次の勝利に向け再スタートの糧と前向きに考えればいいのです。失敗やピンチな状況も次に生かすチャンスという捉え方をすることが最も大切なことと教えられます。「tomorrow will be better day!」(明日はきっといい日になるから)


◇ストレスチェック制度について◇

*「こころの耳」に「ストレスチェック制度」についてまとめられています
  制度に関する新着情報をチェックできます。
→ http://kokoro.mhlw.go.jp/etc/kaiseianeihou.html

*「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」が公開されました。  → http://stresscheck.mhlw.go.jp/  

*「長時間労働者、高ストレス者への面接指導に関する報告書・意見書作成
  マニュアル」が公表されました。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/manual.html
       


◆産業保健に関する各種研修会のお知らせ◆
  http://www.kyoto-sanpo.jp/5semina/semina-s.htm
 ※2月~3月開催の研修会を掲載しています。奮ってご参加下さい。
 ※当センターが実施する「産業医研修会」について、付与できる単位は
  「生涯研修」のみとなります。
  「基礎研修」を受講される方は、京都府医師会主催の研修会を
   ご覧ください。
  http://www.kyoto.med.or.jp/member/sports/index.html

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発行人:森 洋一  編集人:真下 尚之  info@kyoto-sanpo.jp
編集協力:京都産業保健総合支援センター産業保健相談員
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