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京都産業保健総合支援センター メールマガジン175号 2016/3/1
ホームページ:http://www.kyoto-sanpo.jp
発行:京都産業保健総合支援センター 所長 森 洋一


◇京都産業保健総合支援センター ホームページ情報◇

1)厚生労働省「STOP!転倒災害プロジェクト」   <2016.2. 4UP>
2)厚生労働省 2,311事業場で違法な残業を摘発  <2016.2.26UP>
3)厚生労働省「事業場における治療と職業生活の両立支援ガイドライン」
  を公表  <2016.2.26UP>


◇ ストレスチェック制度の義務化に思うこと ◇
   産業医学相談員 南部 知幸

 平成27年12月1日からストレスチェックの施行義務が事業所に課せられた。従業員が50人未満の事業所は努力義務であるにしても、この制度の導入は、職場のメンタルヘルス対策に大きな変化を引き起こすと思う。その変化は、概ね働く者に有効に作用すると思われるが、事業所にとっては、配慮すべき点も多く、ナイーブな事柄になる可能性もある。
 今日、働く者の約6割が何らかのストレスを感じていると言われているが、ストレスを感じている全ての人が心身に異常を来すわけではない。ストレスに対するその人自身の耐性能力や周囲からの援助等、様々な要素が複雑に絡み合い、心身に不調を生じる。
様々な要因が複雑に絡み合うことから、心の不調の原因は容易に判断できない。精神科の診断が曖昧とならざるを得ない由縁である。外因(身体因)、内因(原因不明)、心因に3分類するのが伝統的な精神障害の分類であるが、その鑑別は、理論上は明確であっても、臨床上は簡単にいくものではない。うつ病と言う、ある意味では明確だと思われている病一つをとってみても、反応性うつ病、内因性うつ病、器質性うつ病と大まかには分類されるが、脳器質性変化に伴ううつ状態でも、脳の器質的変化そのものがうつ病を引き起こしたのか、脳器質性の変化が性格変化を生じ、ストレス脆弱性となり、反応的にうつ状態となったのか、脳の変化と関係なく生じたのか、その鑑別は容易ではない。現代的うつ病として様々に論じられる病態となれば、さらに事態は複雑化する。
 それに比しストレスチェック57項目はすこぶる明確である。「ストレス要因」「ストレス反応」「周囲の支援」に分けられ、それら3領域の関係性が容易に把握できる。診断は重要であるが、確定できなくても一応の対応は可能である。ストレスチェックの利点を生かし、広い視野に立っての相互連携が期待される。


◇ 今年度を振り返って ◇
  メンタルヘルス対策促進員 伊達 義範

 平成27年度の活動も、終わりが近くなりました。そこで、今年度の活動を振り返ってみたいと思います。
 まず、活動の中心は、ストレスチェック制度でした。
 私は、北部を担当しています。施行前は、研修会が中心で、他の促進員が担当したものも含め、盛況だったと思います。関心の高さを感じました。
 施行前後から、個別事業場へ赴くことが中心になりました。
 促進員としては、「どこに問題を抱えておられるのかな?」と考えながらお話をします。
そこで感じたことは、以下の三点です。
 ① 経営トップの姿勢が見えにくい。
 ② 衛生委員会等が活発でない。
 ③ 衛生管理者等が孤独な感じ。
まず、①に困りました。12次防では、「企業が積極的に安全衛生対策を進めるためには、労働者の安全や健康を守らなければならないという経営トップの強い意識が重要」となっています。また、ストレスチェックは事業者の義務です。経営トップの後押しが、是非必要です。
 ②について、ストレスチェックについては、衛生委員会等の審議事項になっています。是非、毎月開催して、ストレスチェックを始め、腰痛予防等、どんな業種でも話し合えるものや、労働衛生週間など、全国で一斉に行われる題材を取り上げていただきたいです。
 ③は、北部では、ちょっと対策が難しいと感じました。
第一、担当者の能力向上を図るにも、研修等は大都市圏に偏在しています。また、専任の衛生管理者や専属産業医を選任できる事業場は、ほとんどありません。さらに、情報が入りにくいことも挙げられます。この点は、促進員側で、もっとフォローして行きたいと思います。
 あと一点、ストレスチェックに関することが、産業医の職務に追加されています。
今後は、これを、話題にしていきたいと思います。
 読者の皆様、来年度も、労働衛生活動の中で、当センターの活用を、是非ご検討ください。


◇ストレスチェック制度について◇

*「こころの耳」に「ストレスチェック制度」についてまとめられています
  制度に関する新着情報をチェックできます。
→ http://kokoro.mhlw.go.jp/etc/kaiseianeihou.html

*「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」が公開されました。
→ http://stresscheck.mhlw.go.jp/  

*「長時間労働者、高ストレス者への面接指導に関する報告書・意見書作成
  マニュアル」が公表されました。
→ http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/manual.html


◆産業保健に関する各種研修会のお知らせ◆
  http://www.kyoto-sanpo.jp/5semina/semina-s.htm
 ※3月~6月開催の研修会を掲載しています。奮ってご参加下さい。
 ※当センターが実施する「産業医研修会」について、付与できる単位は
  「生涯研修」のみとなります。
  「基礎研修」を受講される方は、京都府医師会主催の研修会を
   ご覧ください。
  http://www.kyoto.med.or.jp/member/sports/index.html

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発行人:森 洋一  編集人:真下 尚之  info@kyoto-sanpo.jp
編集協力:京都産業保健総合支援センター産業保健相談員
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