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京都産業保健総合支援センター メールマガジン12月(221)号 2019/12/2

         発行:京都産業保健総合支援センター 所長 松井 道宣
         ホームページ:https://www.kyotos.johas.go.jp

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◇京都産業保健総合支援センター ホームページ情報◇
1)厚生労働省 放射線業務従事者に対する線量測定等の徹底について  
2)「台風19号等被災者のための相談ダイヤル」の設置について
3)多文化間精神医学会学術集会「産業医学セッション」のご案内
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◇ 化学物質のリスクアセスメントの現状 ◇
    産業保健相談員(労働衛生工学)  岡本 浩

 平成28年6月の労働安全衛生法の改正によりSDS交付義務対象である673の化学物質についてリスクアセスメントが義務付けられたことはご承知のとおりです。厚生労働省はその実施状況等について、無作為に抽出した約14,000事業所の調査結果(平成29年安全衛生調査)を公表しています。

 調査では6項目のリスクに分けて問う内容です。作業に用いる化学物質の危険性・有害性に関する事項はその内の一つで、規模別に1,000人以上の規模の事業所で79%、500~999人で74%、300~499人で63%、100~299人で49%、50~99人で39%、30~49人で42%、10~29人で33%、平均で37%(平成28年31%)の実施率でした。

 一方、安全面の作業に用いる機械の危険性に関する事項については、10~29人の事業所規模においてもその実施率は61%であり、平均63%(平成28年63%)でした。努力義務である機械安全のリスクアセスメントの方が、義務化された化学物質のリスクアセスメントの実施率よりも高いのは遺憾に思うところです。

 平成30年の安全衛生調査の公表結果では、事業所の実施率として義務対象物質すべてリスクアセスメントを実施している29%、一部実施している14%、実施していない5%、該当化学物質を使用していない11%、該当化学物質を使用しているかわからない25%でした。
 このわからないと回答した事業所が25%もあるというのは、実施率が低いこと以上に心配です。無関心なのか、理解できないのか、どちらでしょうか。化学物質の名称が難しいことも、その普及を妨げる一因であると考えますが、厚生労働省支援ツールの一つであるコントロールバンディング法では液体・粉体作業等について、一項目10分もあれば、誰にでもできます。こんなに簡単なことかと拍子抜けされるかも知れません(職場の安全サイトを検索して下さい)。
 実施率を上げて化学物質への意識を向上させましょう。

厚生労働省 職場のあんぜんサイト-化学物質
 → https://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/kag/kagaku_index.html

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◇ 3つの雑感とメンタルヘルス ◇
    メンタルヘルス対策促進員  岩澤 正明

第一話:自然災害の中での大事なこと
 昨年7月の集中豪雨による、西日本を中心とした、河川の氾濫や土砂崩れによる甚大な被害が記憶に新しいとは思いますが、今年10月には台風19号が猛威を振るい、東日本の広い範囲で甚大な被害が起きました。被害に遭われた方々にはいち早く、普段の日常が戻ることを願うばかりです。
 東日本大震災では、再建するまで2年以上かかったという方がおられましたが、それでも「前に進むしかない」という言葉が印象的でした。ボランティアなど「周囲の支援に助けられた」という声が多かったのは言うまでもないことです。極限状態においてポジティブに考える大切さ、人は支えられながら生きていることを思い知らされました。

第二話:いつもの秋の話題
 10月、秋の味覚の黒枝豆を買い求めるために、早朝から車で兵庫県丹波篠山の目当ての市場に向いました。8時過ぎには目的地に到着したのですが、そこには売り切れの表示が見えました。早朝から行動しましたが、同じ考えの上手の方が沢山おられることに驚きました。仕方なく国道を走っていると、「安価な黒枝豆販売の看板」が目に入り、人が多く集まってましたので興味本位で行ってみることにしました。採れたての黒枝豆が台車に積み上げられ、自分で選んで購入するスタイルのようです。そこではお店の方から「自己責任」でお願いします。大きな声が耳に入ってきました。選ぶのも購入するのも自己責任で、「後で文句を言わないで下さい。」と言わんばかりです。素人がいいものを選ぶテクニックを知りたかったのですが、お客様目線でない雰囲気で残念な気持ちになりました。その言葉で相手がどう感じ、その場に相応しいかどうかを、考えさせられる場面でした。

第三話:パワーハラスメント防止対策法制化の動き
 パワハラの防止対策措置を、労働施策総合推進法などの改正案に盛り込み、来年6月には、大企業はパワハラ防止を講ずるよう義務付けられると報道されました。内容には、相談窓口やパワハラをした社員には厳正に対処する旨を就業規則に設けるなどが示されていますが、今後の動きを注視していく必要があります。
 パワハラ研修でのケーススタディで難しいと感じる点は、業務指示や指導との線引きが難しいことです。発言者の意図と聞き手の受け止め方を合わせたものが、コミュニケーションと言われています。時としてお互いが合わず、感情的に発した厳しい言葉が、上手く聞き流せることもあれば、ストレートに受け止めてしまい、心的なダメージを負ってしまうこともあるのです。受け止めは十人十色と言われる所以ですが、上下間、同僚間を問わず発言者は、相手の態度や反応に応じた、言葉を意識して話すことが重要になってきていると言えます。益々コミュニケーションが難しくなってきたことを実感します。
 この状況の中、気心知れた人との何気ない日常会話で癒されることが多いものです。そうした時間を大事にしていきたいと考えます。自分には「相談や話をする相手がいない」の声には、カウンセラーの出番がまだまだありそうな予感です。

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◇ メンタルヘルス対策支援サービスについて(無料)◇
  メンタルヘルス対策促進員が事業場に赴き、お手伝いいたします。

   ・管理監督者教育への講師派遣
   ・若年労働者教育への講師派遣
   ・「こころの健康づくり計画」策定に関する支援
   ・「職場復帰支援プログラム」作成に関する支援
   ・ストレスチェック制度の導入や実施後の職場環境改善等に
    関する支援

 詳 細→ https://www.kyotos.johas.go.jp/mental
 お申込→ https://www.kyotos.johas.go.jp/wp/wp-content/uploads/2019/06/mental-s.pdf

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◇ 治療と仕事の両立支援サービスについて(無料)◇

  当センターでは、治療を受けながら仕事を続けたい方、両立支援に
  取り組む事業場の方からの相談に応じています。
https://www.kyotos.johas.go.jp/ryoritsu

*出張相談窓口を開設しております。【要予約】
  ・京都大学医学部附属病院  毎月第3水曜日( 9:30~12:30)
  ・京都府立医科大学附属病院 毎月第2木曜日(10:00~12:00)
  ・宇治徳洲会病院      随時
  ・市立福知山市民病院    随時
  ・京都市立病院       随時
  ・京都医療センター     随時
  ・京都第一赤十字病院    随時
  ・京都岡本記念病院     随時 (2019.10より)
  ・京都桂病院        随時 (2019.11より)
  ・京都第二赤十字病院    随時 (2019.11より)

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◆産業保健に関する各種研修会のお知らせ◆

  https://www.kyotos.johas.go.jp/training

  ※R1.12~R2.3月開催研修会を掲載しております。奮ってご参加下さい。

  ※当センターが実施する「産業医研修会」について、付与できる単位は「生涯研修」のみとなります。

   「基礎研修」を受講される方は、京都府医師会主催の研修会をご覧ください。→http://www.kyoto.med.or.jp/member/sports/index.html

◆京都産業保健総合支援センターご利用案内◆

     https://www.kyotos.johas.go.jp/about

◆相談のご案内◆

     https://www.kyotos.johas.go.jp/consultation

◆図書・教材のご案内◆

     https://www.kyotos.johas.go.jp/material

◆産業保健新着情報◆

     https://www.kyotos.johas.go.jp/archives/news

◆メンタルヘルス対策支援サービスのご案内◆

     https://www.kyotos.johas.go.jp/mental

◆メールマガジン(バックナンバー)◆

     https://www.kyotos.johas.go.jp/mailmagazine/back-number

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京都産業保健総合支援センターまで
  ○MAIL:info@kyotos.johas.go.jp 
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発 行 人 : 松井 道宣
編 集 人 : 古澤 稔正 
編集協力 :産業保健相談員・メンタルヘルス対策促進員・両立支援促進員
発行/配信:京都産業保健総合支援センター https://www.kyotos.johas.go.jp