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京都産業保健総合支援センター メールマガジン 2月(210)号 2019/2/1

        発行:京都産業保健総合支援センター 所長 松井 道宣
        ホームページ:https://www.kyotos.johas.go.jp

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◇京都産業保健総合支援センター ホームページ情報◇
1)厚生労働省 職場のメンタルヘルスシンポジウム(大阪会場)開催の
 ご案内                       <2019.1.22>
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◇ 脳卒中・循環器病対策基本法 ◇
    産業保健(医学)相談員   酒井 泰彦

 昨年秋の臨時国会(10/26~12/10)は、今年の新天皇即位に伴う5月の
10連休法の採決を筆頭に、外国人労働者を受け入れやすくする改正出入国
管理法や、水道の民営化を容認する改正水道法、日欧EPAなど、何かと
話題になる法案が “てんこ盛り” でした。しかも、政府提出の新規法案
が全て会期内に成立したという報道を見て、「一体この国はどうなるんだ
ろう…」という不安を抱きつつ平成最後の年を迎えました。そんな中、
「脳卒中・循環器病対策基本法」というのが臨時国会の最終日にこっそり
成立していたのを皆さんはご存知ですか? 正式には「健康寿命の延伸を
図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」
と命名された議員立法で、当初の構想から10年余りの紆余曲折を経ての
成立に,循環器を専門にしている私としては、「やっとですか」という
気持ちと「今さらですか」という気持ちが半々といったところでしょうか。

 この法案は、最初は「脳卒中対策基本法」として平成26年の通常国会に
提出されたのですが、1疾患に1法案というのは認められないという意見
などにより廃案となってしまいました。その後、「がん対策基本法」に
倣い、脳血管疾患(脳卒中)を含む循環器系の病気全体を対象とした「循環
器病対策基本法としての成立をめざし日本脳卒中協会日本心臓財団
日本循環器学会が活動を行ってきました。その間、一部の患者団体の人た
ちからは、「脳卒中と循環器の病気は別物だから一緒にするな!」とか
「脳卒中という言葉が法案名から消えるのはダメだ!」などというクレー
ムがあったらしく、取りまとめにあたられた先生方はさぞご苦労なさった
ことと思います。

 そもそも脳卒中とは、脳に血液を供給している動脈が詰まったり(脳梗
塞)破れたり(脳出血)することにより発症する病気で、そのほとんどが
動脈硬化によって引き起こされます。動脈は全身の諸臓器に酸素や栄養を
供給する血管ですから、これが傷むことによってその流域の臓器に傷害が
起こるというわけです。脳の血管が傷めば脳卒中、心臓の血管が傷めば
狭心症や心筋梗塞、太ももの血管なら閉塞性動脈硬化症、目の網膜の血管
なら眼底出血など、一般の人達にはそれぞれ、脳の病気、心臓の病気、
足の病気、目の病気と、別々の物に思われがちですが、いずれも動脈硬化
(血管の老化)に伴う血液循環障害によって起こっているのですですから
病気の予防は全て共通で動脈硬化の進行を遅らせること。発症時の緊急度
も脳や心臓では1分1秒でも早く治療を開始するのが鉄則。治療法について
も部位によって多少の違いはあるものの概ね似たようなことをやっていま
すから「循環器病」とひとくくりにしたのです「がん対策基本法」が
肺がんや胃がん、乳がんなどをひとくくりにして扱っているのと同じです
ね。

 残念ながら、この「脳卒中・循環器病対策基本法」が成立したからと
いって急に何かが変わるとは考えられません。ただ、循環器病対策につい
地方公共団体医療保険者国民医療従事者それぞれの責務や
基本的施策などが明文化されたのは画期的なことではないでしょうか
11年前に制定された「高齢者の医療の確保に関する法律」と絡めて、疾病
予防の機運が今後さらに高まっていくのを期待したいと思います。その
ためにもまず、私たち医療職にとっては当たり前のことであっても、一般
の人達には判りやすく丁寧に説明していかなければと、あらためて思う
今日この頃です。

☆とりあえず「脳卒中・循環器病対策基本法」の趣旨を知りたい方は↓
 http://www.junkankitaisaku-motomerukai.org/nece
☆この機会に制定された法律の内容を詳しく見てみようという方は↓
 http://houseikyoku.sangiin.go.jp/bill/outline30105.htm

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◇ 信頼関係が築けていない日本社会 ◇
    メンタルヘルス対策促進員  今坂 一郎

 最近の日本社会ではマスメディアによる不祥事報道が目立ちます。
大企業の営みや政府の政策決定などにおいて、あたかも不祥事があるのが
当たり前であるかのようにも見受けられます。

 不正らしきものが発覚した時、そのつど当事者は決まったように「再発
防止に努めます」と発言し、深く頭を下げる姿が報道されます。しかも
その再発防止の対処策をしばしば第三者委員会に任せるなど、当事者自身
が自ら問題を是正しようとする意志を放棄しているかにも見えます。

 なぜこうした事態が続くのかが不思議です。その理由や原因を考える
こと自体が過分なことであるとは思います。複雑な社会における営みが
積み重なった結果だから、仕方がないとする考え方もあるでしょう。
しかしそうした考え方には納得できず、気持ちがすっきりしません。

 産業カウンセラーとしてカウンセリングなるものを学び続ける中で、
その原因として一つの考えに思い至りました。それは社会を構成する人間
相互の信頼関係の欠如が原因であるということです。

 ひとことで信頼といっても、その中身は複雑であって信頼関係を築く
ことは容易でありません。信頼の反対は不信といえます。不信感を抱き
ながらの会話や対話では、心の通じ合う深さは浅いままで終ります。本音
あるいは本当のことが共有される信頼関係を築くことが望まれます。

 本音はどのような時に出てくるのでしょうか。昔ある敬愛する方から
「相手を怒らせると本音が出てくるよ」と聞いたことがあります。つまり
本音による論争が必要ということです。建前に終始する論争ではなく、
本音で語り合う論争があれば、より良好な信頼関係が産まれる可能性が
あります。これはいわゆる二律背反の原理といえます。

 常日頃から少しでもより良い日本社会を築くために、良好な信頼関係を
いかにして創るかについて考えています。

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◇メンタルヘルス対策支援サービスについて(無料)◇

  メンタルヘルス対策促進員が事業場に赴き、お手伝いいたします。

   ・管理監督者教育への講師派遣
   ・若年労働者教育への講師派遣
   ・「こころの健康づくり計画」策定に関する支援
   ・「職場復帰支援プログラム」作成に関する支援
   ・ストレスチェック制度の導入や実施後の職場環境改善等に
    関する支援

 詳 細→ https://www.kyotos.johas.go.jp/mental
 お申込→ https://www.kyotos.johas.go.jp/wp/wp-content/uploads/
      2016/03/3271581a77fe65143bb9a7881fcebb8b.pdf

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◇ストレスチェック制度について◇
 *「こころの耳」に「ストレスチェック制度」についてまとめられて
   います。
  → http://kokoro.mhlw.go.jp/etc/kaiseianeihou.html

 *ストレスチェック制度サポートダイヤル
    電話番号  全国統一ナビダイヤル 0570‐031050
    開設時間  平日 10時~17時(※祝日、年末年始を除く)

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◇治療と職業生活の両立支援サービスについて(無料)◇
  当センターでは、治療を受けながら仕事を続けたい方、両立支援に
  取り組む事業場の方からの相談に応じています。

  →https://www.kyotos.johas.go.jp/ryoritsu

  *出張相談窓口を開設しました【要予約】

   ・京都大学医学部附属病院  毎月第3水曜日( 9:30~12:30)

   ・京都府立医科大学附属病院 毎月第2木曜日(10:00~12:00) 

   ・宇治徳州会病院  随時                  

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◆産業保健に関する各種研修会のお知らせ◆
    https://www.kyotos.johas.go.jp/training

 ※H31.2~3研修会を掲載しております。奮ってご参加下さい。
 ※当センターが実施する「産業医研修会」について、付与できる単位は
  「生涯研修」のみとなります。
  「基礎研修」を受講される方は、京都府医師会主催の研修会をご覧
  ください。
    http://www.kyoto.med.or.jp/member/sports/index.html
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発 行 人 : 松井 道宣
編 集 人 : 為井 克昌 
編集協力 :京都産業保健総合支援センター 産業保健相談員
発行/配信:京都産業保健総合支援センター https://www.kyotos.johas.go.jp