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京都産業保健総合支援センター メールマガジン7月(216)号 2019/7/1
発行:京都産業保健総合支援センター 所長 松井 道宣
ホームページ:https://www.kyotos.johas.go.jp/wp
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2)厚生労働省 労災補償対象の疾病範囲を定めた職業病リスト改正につい
て <2019.6.7>
3)厚生労働省委託事業 腰痛予防対策講習会のご案内 <2019.6.7>
4)京都労働局 京都働き方改革推進支援センターについて <2019.6.3>
5)京都労働局 働き方改革関連法説明会のご案内 <2019.6.3>
◇ 自然災害や事件・事故後のこころのケア ◇
産業保健相談員(カウンセリング) 辰巳 朋子
対処しきれないような打撃を受けた時には、誰しも心にも傷を負います。
このような心の傷を、最近では「トラウマ」と呼ぶようになりました。
自然災害・事件・事故・DV・虐待・いじめ・セクハラ・パワハラ…、予定
にない様々な出来事に出合いますね。そこで、このトラウマティックな
ストレス反応と心のケアについてお伝えして、ダメージが少しでも小さく
なることを願いたいと思います。
<トラウマティックなストレス反応はわかりにくい>
日常生活はできているのに、ソワソワと落ちつかないとか眠れないとか、
興味がわかない、集中できない、同じことを繰り返し考えてしまう等の
微妙な不調が訴えられます。本人も気づかずに自分を責めていたり、だる
さや吐き気、下痢等の身体不調もあります。敏感になりすぎる過覚醒と
動けなくなるマヒや回避等の両極端の反応も、そして再体験症状も有名で
す。
<大部分は徐々に収まります>
ひどいショックを受けた時の上記のような反応は、誰にでも起こる自然
な反応で、2,3か月もすると徐々におさまってきます。ただし、反応の
現れ方や回復の経過は、人それぞれで違います。比べないようにしましょ
う。
<意外と多くの人が苦しんでいます>
2005年の東京23区内で20~59歳の男女1000人の無作為調査では、
回答者の42.4%(男性の35.7%、女性の48.1%)が5種類の出来事の
いずれかで心的外傷を体験していました。自然災害4.7%、事故・病気
26.8%、犯罪・暴力7.1%、突然の死別26.0%、虐待・DV5.5%。そ
のうち深刻な再体験症状を経験していたのはなんと30.1%。
<回復を支えること>
安全や安心は大事です。気持ちや体をいたわり、ストレスやトラウマに
ついて学ぶことも力になります。自分で自分をコントロールできるという
感覚は、回復を支えます。語りたくなれば、怖かったり辛かったことを
安心できる場で聞いてもらったり、避けていることのうち小さなことから
少しずつチャレンジしたり、人との絆が頼りになります。心の相談窓口も
役立ちます。
<こんなときこそ>
自分の気持ちに波紋が広がっていることを認めて、鎮めるための時間を
持ちましょう。「何かひっかかる」とか「しっくりこない」等の違和感は、
まだはっきりとしないものの、自分に何かを知らせていますので、納まり
をつける心の作業が必要です。一人で過ごす時間と、誰かと一緒の時間の
どちらも大切にしましょう。
メンタルヘルス対策促進員 三岡 千賀子
職場のパワーハラスメント防止策を企業に義務付ける労働施策総合推進
法等の改正法が5月29日に成立、パワハラやセクハラ、マタニティハラス
メントに関して「行ってはならない」と明記されました。
※防止措置義務:セクハラは2007年「男女雇用機会均等法」、マタハラは
2017年「男女雇用機会均等法」「育児・介護休業法」に規定。
セクハラを理由とした日本初の民事裁判が起こされ、「セクシャル・ハ
ラスメント」が新語・流行語大賞の新語部門金賞に選ばれたのが1989年
(平成元年)、平成最後の新語・流行語大賞トップテンには「♯Me too」
が選ばれました。
昨年5月、ハラスメント等を理由に企業が従業員から訴えられた場合に
備える保険の販売件数が急増しているとの新聞記事がありましたが、2006
年に労働審判制度が導入されて以降、ハラスメント関連の訴訟は増加して
います。
個別労働紛争解決制度を利用した総合労働相談では、「いじめ・嫌がら
せ」の相談件数は72,067件(23.6%)で6年連続トップ(平成29年度施行
状況)。
私自身、ハラスメントに関する相談が増えたことを実感しています。
●ハラスメント対策の強化のポイント●
・パワハラ:初めて事業主に防止の取り組みを義務化。(具体的内容は
年内に出される指針で規定。)改善指導に従わない場合、企業名公表。
定義①優越的な関係を背景に②業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動
により③就業環境を害する―の三要件。
・パワハラ・セクハラ・マタハラ:被害を相談した労働者への解雇など不
利益な取り扱いを禁止。国・事業主・労働者に対し、他の労働者の言動
に注意を払う責務を規定。
・社外でのセクハラ:加害者側の事業主に対し、被害者側の事業主からの
事実確認などの協力要請に応じる努力義務。
・顧客からのカスタマーズハラスメントや就活生へのセクハラに対して、
指針で対応を検討。
※大企業は2020年4月、中小企業は2022年4月から義務化。
罰則を伴う禁止規定はなく、一人ひとりの意識を高めていくことが求め
られています。
なお、6月10日から開かれた国際労働機関(ILO)年次総会では、職場
でのセクハラや暴力を禁止する初めての国際条約が採択されました。
*こころの耳 http://kokoro.mhlw.go.jp/power-harassment/
*あかるい職場応援団 http://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/
*『職場のパワーハラスメントに関するヒアリング調査結果』
(独)労働政策研究・研修機構
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2019/216.html
*当センターでは、随時研修・セミナーを実施しております。
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◇メンタルヘルス対策支援サービスについて(無料)◇
メンタルヘルス対策促進員が事業場に赴き、お手伝いいたします。
・管理監督者教育への講師派遣
・若年労働者教育への講師派遣
・「こころの健康づくり計画」策定に関する支援
・「職場復帰支援プログラム」作成に関する支援
・ストレスチェック制度の導入や実施後の職場環境改善等に
関する支援
詳 細→ https://www.kyotos.johas.go.jp/wp/mental
お申込→ https://www.kyotos.johas.go.jp/wp/wp-content/uploads/2019/06/mental-s.pdf
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◇ストレスチェック制度について◇
*「こころの耳」に「ストレスチェック制度」についてまとめられて
います。
→ http://kokoro.mhlw.go.jp/etc/kaiseianeihou.html
*ストレスチェック制度サポートダイヤル
電話番号 全国統一ナビダイヤル 0570‐031050
開設時間 平日 10時~17時(※祝日、年末年始を除く)
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◇治療と仕事の両立支援サービスについて(無料)◇
当センターでは、治療を受けながら仕事を続けたい方、両立支援に
取り組む事業場の方からの相談に応じています。
→https://www.kyotos.johas.go.jp/wp/ryoritsu
*出張相談窓口を開設しました【要予約】
・京都大学医学部附属病院 毎月第3水曜日( 9:30~12:30)
・京都府立医科大学附属病院 毎月第2木曜日(10:00~12:00)
・宇治徳洲会病院 随時
・市立福知山市民病院 随時
・京都市立病院 随時
・京都医療センター 随時
・京都第一赤十字病院 随時
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◆産業保健に関する各種研修会のお知らせ◆
https://www.kyotos.johas.go.jp/wp/training
※当センターが実施する「産業医研修会」について、付与できる単位は
「生涯研修」のみとなります。
「基礎研修」を受講される方は、京都府医師会主催の研修会をご覧
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