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京都産業保健総合支援センター メールマガジン9月(218)号 2019/9/2

        発行:京都産業保健総合支援センター 所長 松井 道宣
        ホームページ:https://www.kyotos.johas.go.jp

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◇京都産業保健総合支援センター ホームページ情報◇
1)平成元年度下半期両立支援コーディネーター研修(京都会場含) 9月2日
  募集開始
2)緑十字展2019(10月23日~25日)に出展します!
3)「第78回全国産業安全衛生大会in京都」のご案内
4)京都府医師会・京都市「かかりつけ医・産業医等うつ病対応力向上
 研修会」のご案内
5)厚生労働省 情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン
 (基発0712第3号)
6)厚生労働省 職場における受動喫煙防止のためのガイドライン(基発0701
 第1号)
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◇TA心理学を活用したメンタルヘルスケアより
  “ストローク論”を知ることは労働生産性を向上する一助となる!?◇
    産業保健相談員(保健指導)  村田 理絵

 2019年4月に施行された“働き方改革関連法”によって、企業において
は時間やコストを投じて様々な取組みが進んでいることと思います。皆様
の職場では、働き方改革の効果はでていますでしょうか?
 働き方改革を行う目的は、一人ひとりの意思や能力、個々の事情に応じ
た、多様で柔軟な働き方を選択可能とする社会を追求していくことで、
“労働者にとっての働きやすさ”を実現し、労働力の確保と労働生産性を
改善するための最良の手段としていくことです。
 働き方改革を推進していく必要な要素として、経営層や管理職の意識
改革の重要性が言われています。

 当センターでは、毎年恒例で豊田直子先生(株式会社ホリスティックコ
ミュニケーション 代表取締役)をお招きし、今年は「TA心理学(交流分
析)を活用したメンタルヘルスケア(全3回シリーズ)」というテーマでご講
義頂いております。研修に参加された産業看護職や衛生管理者、人事労務
担当者の方々に「知る・わかる」だけではなく、管理職向けの意識改革と
しても「できる・使える」研修であると大変好評でしたので講義内容の
一部をご紹介致します。

1.ストロークとは何か?
  ストロークという言葉は英語ではStrokesと言い、「打つ」「振る
 更には「なでる」「さする」等の身体的接触の意味があり、スポーツや
 医療、音楽等でも使われますが、TA(交流分析)では、言語・非言語全
 て含めて「存在を認める行為」のことを指します。
 豊田先生は、ストロークを別名「心の栄養」と表現され、職場や家庭内
 等の“コミュニケーションの質を高める”重要なキーワードであり、
 “人間が生きていくために絶対に必要なもの”とおっしゃっていました。

2.「セカンド・チャンス」という題名の実録映画より
  ストロークが極端に欠乏したために発育不良を起こした実際の話が、
 「セカンド・チャンス」という記録映画として残されています。主人公
 のスーザンという女の子は、生まれた時から両親の肉体的・心理的な
 ストロークが欠如したため、発育異常をきたしたのですが、病院のスタ
 ッフによって肉体的・心理的なストロークを十分に受け、第2の成長の
 チャンスをつかんだのです。
 TA創始者のエリック・バーンは、「幼児に十分なストロークが与え
 られないと、その子の脊髄は委縮して成長が遅れ、知能的・情緒的に
 十分発育しない」と述べています。
 スーザンのケースは、ストローク欠乏による「ストローク飢餓状態」が
 もたらす結果をしめしています。
 エリック・バーンは「人はストロークを得るために生きている」とも
 言っています。私達人間は一人では生きていけません。ストロークは
 活動の源泉となるのです。

3.ストロークの種類
  ストロークは、「プラス・マイナス」「言語・非言語」存在・行動
 の3点で分類できます。
 【プラス】
  言語:挨拶、声掛け、褒める、雑談、傾聴…
  非言語:笑顔、撫でる、ハグする、握手する…
  存在:あなたがいてよかった…
  行動:朝、早いのは偉いね…
 【マイナス】
  言語:悪口、皮肉、暴言…
  非言語:無視、暴力…
  存在:死ね、辞めてしまえ…
  行動:朝、遅いのはだめだよ…

4.ストロークの法則
  「人はプラスのストロークを求めようとします。しかし、それが得
 られないと、マイナスのストロークをも求めようとします」
  例えば、上司が部下に対して関心を向けずに何もストロークを与え
 なかった場合、その部下は職場で不適切な言動や行動が多くなります。
 いわゆるストローク飢餓に陥っている状態となります。そのような場
 合、上司が部下を叱ります。その部下の行為は潜在的に無視されるより
 はマシなため、叱られるようなマイナスのストロークでもストロークを
 得ようとしていると説明できます。こうした部下の兆候が現れたら、
 プラスのストローク(傾聴)で耳を傾ける必要があります。

5.ストロークバンク
  人はだれでも、心の中に“ストロークバンク(ストロークの銀行)”を
 もっています。自分の心の中にプラスのストロークが貯まっていれば、
 他人からのマイナスストロークを受け流すことができるし、他人に対し
 てもプラスのストロークを与える余裕もあります。逆にプラスストロー
 クがないと、他人のマイナスストロークを受け止めてしまい、他人に
 プラスストロークを与える余裕はありません。
 ちなみに自分の気持ちを高めることができるプラスストロークは、他人
 からだけでなく、様々なものがプラスストロークになり得ます(音楽・
 自然・スポーツ・おいしい食事・思い出・空想等)。

 豊田先生の講義を受けて、ストロークがどんなものであるかについて
理解することで、これまで漠然とした人間関係の問題点が明らかになって
いき、職場の中でプラスストロークの行動を増やしていくことが労働生産
性を向上させる一助になるのではないかと感じた次第です。

 2時間とおしでの講義だったのですが、具体的な事例を交えて、他の
参加者と情報共有しながら行う参加型の講義だったため、あっという間の
楽しい時間でした。豊田先生の講義は、参加者自身が考えてもらえるよう
な質問を投げかけることで参加者自身に気づきが生まれ、参加者が行動
変容しやすい様から“豊田マジック”と言われています。豊田先生の3回
目の講義は、2020年1月に予定しています。一度“豊田マジック”を体感
してみませんか。

【引用・参考文献】
1)株式会社西日本出版社発行、ギスギスした人間関係をまーるくする
  心理学 ~エリック・バーンのTA~、安部朋子
2)株式会社西日本出版社発行、エリック・バーンのTA組織論、安部朋子
3)株式会社金子書房、メンタルヘルスに活かすTA 実践ワーク、畔柳 修

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◇産業保健関係助成金 直接健康相談環境整備コースって?◇
    メンタルヘルス対策促進員  和田 昌子

 毎日うだるような猛暑の中、一日無事に過ごせたと気絶するように眠り
につく日が続いています。年々、夏の暑さがつらくなってきました。
今年は、飲む点滴?!という甘酒を頼りに体力勝負。有難いことに、よく
効く栄養、夏バテと言いながら、人生最高体重更新中。生きぬくことが一
番、気にせずこの夏を乗りきるぞと、気合を入れています。

 ここのところ、心の健康づくり計画を作成したいとのことで、多くの事
業所様を訪問させていただくのですが、2回目以降の訪問時、数ヵ月後の
助成金の入金を信じて、健康増進、健康管理のための器具を買って休憩室
に設置し、従業員で盛り上がっているというお話や、休憩室の一番目立つ
ところに心の健康づくり計画が掲示してあるのを見ると、促進員として思
わず嬉しくなります。

 今回は、昨年新たに追加された直接健康相談整備コースのご案内です。
このコースは、小規模事業場が、
 ①産業医の要件を備えた医師と契約し、職場巡視、健康診断異常所見者
  に関する意見聴取、保健指導等産業医活動の全部又は一部を実施する
  契約
 ②保健師と契約し、職場巡視、健康診断異常所見者等に関する保健指導
  長時間労働者の面談等、産業保健活動の全部又は一部を実施する契約
のいずれかの契約で、契約した産業医又は保健師に労働者が直接健康相談
できる環境を整備する条項を含めて締結した場合に、申請に基づき助成
されます。

 実際小規模の事業所で産業医保健師と契約することはまれですが
この機会、身近に産業保健について考え、実感できるいい機会ではないで
しょうか? 現代の医療は進化し、治療しながら働くという選択肢も以前
よりは増えましたが、初めて診断された時の心細さや不安を、外部の専門
家に聞いてもらったり、ご家族と一緒に相談に行ったりなどできれば、
少しでも心が軽くなることもあるのではないでしょうか?この助成金は、
事業所が産業医や保健師と契約する必要があります。詳しくは、ホーム
ページをご覧ください。もっと身近に感じる産業保健が、働き続けること
をサポートします。

産業保健関係助成金 ↓↓↓
https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/1389/Default.aspx
直接健康相談環境整備コース ↓↓↓
https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/1410/Default.aspx

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◇ 令和元年度下半期(10月~3月)
   両立支援コーディネーター基礎研修 受講者募集について ◇

※京都は令和元年12月11日(水)開催

   開催場所:京都府医師会館(京都市中京区西ノ京東栂尾町6)

   受付期間:9月2日(月)13時~9月6日(金)17時
   結果通知:9月17日(火)にメールで通知されます。
   機構HPよりお申し込みください。
 → https://www.johas.go.jp/ryoritsumodel/tabid/1426/Default.aspx

 治療と仕事の両立支援助成金の申請をお考えの場合は受講される前に

準備が必要となります。

「治療と仕事の両立支援助成金(環境整備コース)の手引き」をご参照ください↓

https://www.johas.go.jp/Portals/0/data0/sanpo/sanpojoseikin/pdf/H31/twE_josei_tebiki_R1.pdf

「手続きの流れ(手引きP4)」

両立支援コーディネーターの配置の前に必要な手続き

  ① 両立支援環境整備計画書の作成
  ② 両立支援環境整備計画書の認定申請
  ③ 両立支援環境整備計画認定通知の受取

※注意※
両立支援コーディネーターの配置を計画期間の開始日とする場合、

①の計画書を「両立支援コーディネーターを配置した日(研修日の翌日)
の月」の 前々月末日までに提出する必要があります(12月11日に受講を
お考えの場合は10月末日まで)。
提出期限を過ぎると申請は一切受付できませんので、ご注意ください。

詳しい内容につきましては、下記ナビダイヤルまで

電話番号 : 全国統一ナビダイヤル 0570-783046
受付時間 : 平日 9時~12時、13時~18時

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◇ 第78回(令和元年度)全国産業安全衛生大会 ◇

「平安の思いを込めた京の地で 新たに誓う 安全と健康」をテーマに
10月23日(水)から25日(金)までの3日間、京都市において開催されます。
https://www.jisha.or.jp/taikai/index.html

また、同期間、京都パルスプラザで開催される緑十字展に出展します。
当センターブースでは「内臓脂肪」と「血管年齢」測定の体験コーナーを
設けますので、 これを機にご自身の身体について知り、健康対策を考えて
みませんか?  「産業保健ハンドブック(最新版)」を無料配布してますので、ぜひお立ち寄り
ください。なお、配布数には限りがありますので、お早めにお越しください。
https://www.kyotos.johas.go.jp/wp/wp-content/uploads/2019/08/r1.10.23ryokujuji.pdf

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◆産業保健に関する各種研修会のお知らせ◆
    https://www.kyotos.johas.go.jp/training

 ※R1.9~12研修会を掲載しております。奮ってご参加下さい。
 ※当センターが実施する「産業医研修会」について、付与できる単位は
  「生涯研修」のみとなります。
  「基礎研修」を受講される方は、京都府医師会主催の研修会をご覧
  ください。
    http://www.kyoto.med.or.jp/member/sports/index.html

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メールマガジン配信のお申込み、お断り、お問い合せ、ご質問等は
京都産業保健総合支援センターまで
  ○MAIL:info@kyotos.johas.go.jp 
  ○TEL:075-212-2600 FAX : 075-212-2700
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発 行 人 : 松井 道宣
編 集 人 : 古澤 稔正 
編集協力 :産業保健相談員・メンタルヘルス対策促進員・両立支援促進員
発行/配信:京都産業保健総合支援センター https://www.kyotos.johas.go.jp