健康情報"ほっと一息"
普通預金 上手に減らして 脱メタボ
副所長、10月の緑十字展では内臓脂肪面積測定に約200名の人がチャレンジしてくれて大盛況でしたね。
はい。ところで、内臓脂肪って2006年の流行語大賞で「メタボリックシンドローム*¹」がトップ10に入ったころから有名になりましたね。内臓脂肪とメタボリックシンドロームの関係は?
メタボリックシンドロームは別名「内臓脂肪症候群」と言います。
食べ過ぎや運動不足が続くと内臓脂肪(腹腔*²内の腸の周りにある脂肪)が過剰に溜まってしまいます。
その結果、血糖、中性脂肪、血圧の上昇やHDL(善玉)コレステロールが低下するなど複数のリスクが重なって、心筋梗塞や脳梗塞の原因となる動脈硬化を起こしやすい状態として定義されてるんです。だからまず内臓脂肪のチェックが大事なんですね。
でもなぜ内臓脂肪が血糖や中性脂肪などの異常に繋がるんでしょう?内臓脂肪から高血圧や糖尿病の原因となる物質や、血液を固まらせて血栓を作る物質が分泌されていることがわかったのです。
さらに、内臓脂肪が多いと、同じく脂肪細胞から分泌されて動脈硬化への防御作用があるアディポネクチンという物質が減るのです。ということは、メタボリックシンドロームの人は、内臓脂肪を減らすことによって高血圧や高血糖などの改善が見込めるのかな?
そうなんです。そこが大事なところで、健診でメタボリックシンドロームかどうかを調べる目的は、動脈硬化を効率よく予防することです。
でも自分の内臓脂肪の溜まり具合ってなかなかわからないですよね。
はい。だから健康診断ではメジャーでお腹周りを測っていますね。男性は85㎝以上、女性は90cm以上あると、内臓脂肪が多く蓄積されていると推定します。
でも減らすのは大変そう。
大丈夫。皮下脂肪は「定期預金」、内臓脂肪は「普通預金」と呼ばれるように、内臓脂肪は食事や運動で減りやすいんですよ。
よし、頑張って「普通預金」を減らすぞ~。
- 【参考文献】
- 松澤佑次「脂肪細胞の驚くべき真実」中央法規 2008年
- *¹
- メタボリックシンドロームの診断基準
腹囲 男性85㎝以上・女性90㎝以上に加えて①~③のうち2つ以上当てはまること - ①
- 血圧 収縮期血圧130㎜Hg以上、または拡張期血圧85㎜Hg以上
- ②
- 血糖 空腹時血糖 110mg/dl以上
- ③
- 血中脂質 中性脂肪150mg/dl以上またはHDL(善玉)コレステロール40mg/dl未満。
- *²
- 腹腔‥腸、胃、肝臓などを収納する腹部内の空間