健康情報"ほっと一息"
治療が必要になったときに知りたい情報 ⑫がんと認知機能障害
今月は、あまり知られていないテーマを取り上げてみたいと思います。
がん患者さんが感じる認知機能の問題ですね。
はい。産保センターでお受けするがん患者さんからの相談では、認知機能の困りごとよりも、「疲れやすさ、排泄のコントロール、痛み」など身体の症状の困りごとが多く聞かれます。しかし、実際はお仕事をしながら認知機能について「あれ?」と思っている方もいるのではないかと思っています。
具体的にはどんな症状があるのでしょう?
がんになる前と比べてこんなことがあると言われています。
(記憶機能)
・日常の出来事などを容易に思い出せない例) 昨夜何を食べたかを思い出せない
書類や道具をどこに置いたか思い出せない
(注意機能)
・物事に集中できない、気が散りやすい、集中力が続かない例)仕事・家事・勉強への集中力が続かない
他人の話し声で気が散る
(処理速度)
・作業を終わらせるのに時間がかかる例)事務作業のスピードが遅くなった
(言語機能)
・言葉を思い出すのに苦労する例)取引先・近所の人の名前が思い出せない
(学習機能)
・物事を新たに学習するのが難しい例)新しい仕事・家事を覚えられない
(遂行機能)
・複数の作業を同時にするのが難しく、混乱しやすい例)複数の料理を同時に作ろうとして混乱する仕事を続けたいのに、こんな症状があるととても疲れるしストレスを感じますね。
原因は何でしょう?がんや治療による影響、精神的ストレス、睡眠不足、薬剤などによる様々な影響が考えられると言われています。
原因が様々で、他者からわかりづらい症状だと対処しづらいですね。
そうですね。この続きは次号でも考えてみたいと思います。
- 【参考資料】
- 谷向仁編著 「がんと認知機能障害 気づく,評価する,支援する」中外医学社(2020年)
- 京都大学医学部附属病院多職種連携研修会制作リーフレット
「仕事で、生活で、困っていませんか?~がん医療における認知機能への影響~」 - https://www.kyotos.johas.go.jp/wp/wp-content/uploads/2021/06/uk-book.pdf