健康情報"ほっと一息"
治療と仕事を両立するための情報② プライバシーは守られる?
先月は「会社は相談窓口を明示しよう。従業員は窓口を知っておこう。」というお話をしました。
そこで今月のテーマですが、従業員の方から「プライバシーは守られるのか?」という不安を耳にします。
会社で病名が広まるんじゃないかと・・。
病名を知られると立場が悪くなるのでは?と心配する人や、勝手に詮索されるのでは?と思ったりする人がいます。
病気というレッテルを貼られることを心配したり、周囲に気を遣わせたくないと考えたり‥人によって想いは様々ですね。
平成30年9月7日に厚生労働省から「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取り扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」が出されました(平成31年4月1日適用)。
労働者の健康情報の取扱に関する原則を明らかにしたものですね。趣旨は?
①健康情報はとてもデリケートなので②労働者が「自分が不利に扱われるのでは?」など思うことなく、安心して会社に報告し、産業医などの健康相談を受けたりできる環境づくりをすること③会社が労働者の健康確保措置を万全に行えるように、必要な労働者の健康情報を取得して適切に取り扱うこと、です。
では、会社は何をしたらよいのでしょう?
まず、社内で「健康情報等の取扱規程」を作成して、取り扱いのルールを明確にすること。
取扱規程で決める事項の中に「心身の状態の情報を取り扱う者及びその権限並びに取り扱う心身の状態の情報の範囲」というのがありますね。
「誰が、どんな種類の情報の取り扱いを担当するか」というものです。
つまり、「従業員のプライバシーに触れる人が限定される」ということですね。
そうです。ところで、従業員からできるアクションについても考えてみましょう。
従業員も、自分の情報を「誰にどこまで伝えて良いのか?」まずは考えてみて、意思表示をするとよいですね。
全く公表しないと、職場から適切な配慮を受けづらいことも考えられますね。
はい。信頼できる上司や同僚に伝えて、理解者を得ることで気持ちが楽になったという方もいます。
病名を公表する、しないこと、それに伴うメリット・デメリットを考えてみると良いですね。
【参考資料】
- がんと仕事のQ&A(国立がん研究センターがん情報サービス)
- https://ganjoho.jp/public/support/work/qa/
- 事業場における労働者の健康情報等の取扱規程を策定するための手引き(厚生労働省)
- https://www.mhlw.go.jp/content/000729524.pdf
- 労働者の心身の状態に関する情報の適正な取り扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針(厚生労働省)
- https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_01170.html