健康情報"ほっと一息"
治療と仕事を両立するための情報⑨ そろそろ復職したいけど…
9~11月号では、休職期間中に会社が行うこと、従業員(休職者)が行うことについてお話しました。
ここで、休職した人の職場復帰に向けた流れを確認してみましょう。
①休職中の体調確認②主治医の復職許可③事業場の復職可否判断④職場復帰⑤職場復帰後のフォローアップ*産業医のいる会社では、②と③の間に産業医面談が入ることもあります。
9~11月号は①の話でしたね。
今回は①の段階を経て「そろそろ復職したい」と思ったときの話です。
まず「②主治医の復職許可」についてですが、従業員(休職者)に「主治医に仕事の相談をしましたか?」と聞くと、「先生とは治療の話だけです。」とか「診察時間が短いので…。」とか「先生は忙しいから‥。」とか「そんな話していいの?」などという返答が聞かれます。
つまり、主治医に仕事の相談ができてない人が結構いるかもしれませんね。
はい。そんな印象を受けています。そのような状況で「②主治医の復職許可」を貰うとどうなるでしょう。
体力低下や副作用があって体調に不安があるのに「早く働いたほうがいいよ。」と言われる。復職する現場は昼休憩も十分に取れず、残業が当たり前の職場なのに、それを説明できずに「大丈夫!」と太鼓判を押される‥。
そうなんです。従業員(休職者)の実際の職場の状況を説明することなく、主治医による「復職可」の診断書が出される、ということが起こり得ます。
主治医から、実際の職場の状況に即した復職に対する意見を貰うにはどうしたらよいでしょう?
そんな時に「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」の中の「勤務情報提供書」を活用したいですね。
会社と従業員(休職者)が同意して、職務内容、勤務形態(常昼、二交替、三交替など)、勤務時間などを具体的に記載した情報を主治医宛てに提出するものですね。
はい。その情報を把握したうえで、主治医から「復職可」「条件付き可」「現時点で不可」などの意見や、業務の内容について職場で配慮した方がよいこと(望ましい就業上の措置)などの意見を貰います。
主治医の具体的な意見があると、「③事業場の復職可否判断」がしやすいですね。
はい。会社が職場復帰を認める条件として最低限必要なものは、生活リズムが整っていること、安全に通勤ができること、就労により症状悪化の可能性が高くないことです。
会社は安全配慮義務違反とならないように、従業員(休職者)の話や主治医の意見などの情報をもとに、慎重に復職の可否判断をする必要があるのですね。
【参考文献】
- 独立行政法人労働者健康安全機構 治療と仕事の両立支援コーディネーターマニュアル(令和4年4月改訂)https://www.johas.go.jp/ryouritsumodel/tabid/1047/Default.aspx
- 厚生労働省 事業場における治療と仕事の両立支援ガイドライン(令和4年3月改訂版)https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000912019.pdf