健康情報"ほっと一息"

治療と仕事を両立するための情報⑫ 両立支援におけるストレスマネジメント その2

  • 2月号では、復職後に感じるストレスと、それにより引き起こされる不適応についてお話しました。

  • 今回は予防の話ですね。

  • 不適応状態に対する有効なアプローチとして考えられるのが「ストレスマネジメント」です。

  • ①睡眠・リラクゼーション②認知・行動トレーニング③環境調整の3つですね。

  • 1つずつ見ていきましょう。
    まず①ですが、身体や脳がしっかり疲労回復するためには睡眠がとても大事です。また、リラクゼーションについては、手軽で自分に合った方法を選ぶと良いです。

  • 運動やおしゃべり、お風呂にゆっくり浸かる、森林浴、ペットと遊ぶ‥、最近はマインドフルネスも話題ですね。
    ②の認知・行動トレーニングとは?

  • 病気や治療により、体力だけでなく処理能力自体も低下していることを前提として、メモの取り方などを工夫したりすることです。

  • メモをとることで、その内容を積極的に忘れるようにし、次にやってくる情報を処理できるようにする。
    また、計画を立ててToDoリストを作成したり、タイムマネジメントに取り組んだりすることも工夫の1つですね。

  • 他に、上司や部下、同僚や主治医に対して自分の考えや気持ち、今の状態や配慮して欲しい具体的な内容を適切に伝える方法としてアサーショントレーニングもあります。

  • ③の環境調整は周囲の人との連携が必要ですね。

  • はい。産業保健スタッフが復職した従業員と職場との間に入り、コーディネートができると良いですね。就業上の配慮事項、作業効率低下などの困難を上司や産業保健スタッフ、人事労務担当者などが確認し、管理者や周囲の従業員と共に必要な配慮を検討すること。

  • 復職した従業員が、うまく適応していけるように方法を考えることですね。

  • 従業員自身のセルフケアも大事ですが、それだけでなく、ストレスマネジメントについてアドバイスする役割や、周囲がストレス状態に気づいたり環境を調整する文化もあるといいですね。

【参考資料】
立石清一郎ほか
「産業保健スタッフに必要な疾患の知識と最新の治療」メディカ出版(2020年)