健康情報"ほっと一息"
治療と仕事を両立するための情報⑬ 治療が必要になる前からやっておくこと
今月は両立支援のための環境整備について考えましょう。
病気になったら治療のこと、生活のこと、仕事のこと、あれこれ心配になりますが、そんな時にどこに相談したらいいか?自分の治療のことを勤務先に相談していいのか?迷う方もいます。
両立支援のための環境整備として、まずは事業場内に相談窓口を置き、社内イントラや掲示板で従業員に繰り返しそのことを周知しておきたいですね。
病気になった本人だけでなく、上司や同僚など周囲の人も相談できるような窓口が良いですね。
窓口では、人事労務担当者や産業保健スタッフが相談対応すると良いです。産業保健スタッフがいない場合は産保センターを案内するのも1つの方法です。
気を付けることはありますか?
個人情報の取扱いについては十分に配慮し、相談者が安心して相談できるように案内しましょう。
他には?
休職についての案内文書があるといいですね。
従業員からの「休職・復職の手続きがわからない。治ったらすぐ出勤してよいのか?」「傷病手当金はいつまで貰えるのか?」などという相談が多いと感じています。案内文書にはどんな内容があるといいのでしょう?
1)就業規則上の休職期間は何か月か?その間の給料はどうなるのか?2)休職中の相談窓口・連絡方法3)復職の流れ
(主治医の診断書の提出、事業場による復職可否の検討、リハビリ出勤制度など)4)社会保険料・住民税など休職中に支払いが必要なお金について5)傷病手当金について
このような情報を文書で受け取ると、従業員や家族の不安を軽減できるし復職までの見通しを立てることもできます。「緊急入院で突然休むことになったけど、就業規則が社内イントラネットでしか確認できない…」という場合など、こういう案内を貰うと従業員や家族は助かりますね。
休むことになって初めて社内のルールや傷病手当金という制度があることを知る人が多いので、簡潔にわかりやすく情報提供できるようにしましょう。
- 【参考資料】
立石清一郎ほか 「産業保健スタッフに必要な疾患の知識と最新の治療」メディカ出版(2020年)
- 近藤明美ほか 「がん治療と就労の両立支援 制度設計・運用・対応の実務」日本法令(2017年)