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【両立支援に生かしたい‼『就業規則』について考えよう】①就業規則の前に「労働契約」から考えてみよう
労働者や事業場から休職・復職などの相談をお受けしたときに、「御社の就業規則にはどう書いてありますか?」とお聞きすることがよくあります。
「就業規則って何?」というテーマは、両立支援に従事する上で大事なことです。
今回のシリーズでは小見副所長から就業規則についてレクチャーしていただきたいのですが、その前に、労使関係の基本である「労働契約」について教えてください。
「労働契約」とは、労働者が働くことと、使用者がその労働に対して報酬(給与)を支払うことをお互い合意して約束することです。
労働者には、正社員、契約社員、アルバイト、パートなど色々なパターンがありますね。
その誰もが、働く際には労働契約を結んでいます。
どこでどんな仕事をする、働くのは何時から何時まで、その対価として、給料がどのように計算して何日に支払われる、などですね
そうです。そして、職場では色々な人が働いています(労働契約を結んでいます)。大勢の労働者がいたり、長年経営をしている職場では、時折「こんなときどうしたらいい?」という問題が起こってきます。そんなときのために、職場(使用者)は、労働条件や職場の規律に関する労働者に共通のルールとして「就業規則」を作るものとされています。
両立支援に引き寄せて考えてみると、病気になって休んだりする場合、労働者が契約通りに働けなくなることがありますね。
労働者が業務外の私傷病によって労務を提供できないことは、「労働契約の債務不履行」という状態であるとも言えます。そんな場合にも、就業規則には「職場でどういうルールが適応されるか。」が書かれてあります。
今回のシリーズでは、その辺を一緒に掘り下げて学んでいきたいと思います。
ところで、10人以上の職場では、就業規則を作成し、労働基準監督署長に届け出ること、労働者に周知する(いつでも見られる状態にしておく)ことが義務付けられていますね(労働基準法第89条)。10人未満の場合はどうなのでしょう。就業規則は、事業場の労働者数が常態として10人未満である場合には、労働基準法上は作成しなくても差し支えないこととされています。しかし、使用者と労働者との間の無用の争いごとを未然に防ぎ、秩序を維持して明るい職場づくりに寄与するという就業規則の役割から考えて、ぜひとも作成していただきたいです。
労働者と使用者とが、お互い良好な関係を維持するためにも、労働契約・就業規則について押さえておいたほうが良いですね。両者はどういう関係と考えたらよいでしょうか?
労働契約法第7条では「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。」とされています。つまり、就業規則は労働契約の内容そのものとなります1)。
【引用文献】
- 1)玉泉孝次 谷口勉 谷口誠.「元労働基準監督官」がつくる就業規則・諸規定用例集 初版.清田冨士夫監修.東京.労働調査会.2022:P2
【参考文献】
- 厚生労働省労働基準局監督課.“モデル就業規則(令和5年7月)”.モデル就業規則について.2023⁻07.
- https://www.mhlw.go.jp/content/001018385.pdf