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【両立支援に生かしたい‼『就業規則』について考えよう】④休職制度とは
前回の病気休暇制度に続き、今回は休職制度について考えてみましょう
病気休暇と同じく、休職制度についても、休職の定義、休職期間の制限、復職等については、労働基準法に定めはありません1)
つまり、職場によって制度の有無が異なるのですね
はい。休職とは、業務外での疾病等主に労働者側の個人的事情により相当長期間にわたり就労を期待し得ない場合に、労働者としての身分を保有したまま一定期間就労義務を免除する特別な扱いをいいます2)。言い換えれば、病気で働けなくなった従業員の退職を猶予し、傷病の回復を待つことで、労働者を退職から保護する制度です。
優秀な従業員を維持・確保するため、休職制度を設けている事業場は多いと感じています。制度の有無については就業規則をみると良いですね。その就業規則ではどのようなことが規定されているでしょう
以下のような事項です
①休職制度を認める従業員の範囲(正社員のみかパート労働者も認めるのか)②休職となる判断基準③休職の手続き方法④休職期間⑤休職期間中の受診義務や会社への状況報告義務について⑥ 休職中の給与の計算方法や社会保険料の支払いについて⑦復職の判断基準と支援について⑧復職後の待遇について⑨休職期間満了時の取り扱いについて3)④休職期間はどんなイメージでしょう。
制度設計は事業場の事情によるためそれぞれ異なりますが、一律に同じ期間(1年など)の事業場もあれば、勤続年数によって期間に幅を設定し(3か月~1年6か月など)、長く勤めている人ほど長く休職できる事業場もあります
健康保険法では傷病手当金は1年6か月貰えることになっていますが、休職制度の期間と傷病手当金制度の期間は違いますね
全く異なります。「傷病手当金制度の期間が1年6か月なので、1年6か月間は休職できる」と勘違いしないようにしましょう
⑥休職期間中の給与の計算方法や社会保険料の支払いについて、休職中に支払いを求められて、とまどった従業員がいました。
収入・支出に関する情報は不安を伴いますから、休職制度の利用を開始する際に、きちんと労使で情報共有し、安心してもらうことが大事ですね
休職についての案内文書があるといいですね。
こういうことが記載されていると良いでしょう。1)就業規則上の休職期間は何か月か?その間の給料はどうなるのか?2)休職中の相談窓口・連絡方法3)復職の流れ
(主治医の診断書の提出、事業場による復職可否の検討、リハビリ出勤制度など)4)社会保険料・住民税など休職中に支払いが必要なお金について5)傷病手当金について一例として、労働者健康安全機構.職場復帰支援にかかるモデルプログラム〈補足資料〉「休業・復職支援のご案内~休業から復職までの流れ」をご紹介します4)
https://www.johas.go.jp/Portals/0/data0/sanpo/shokubafukki/download/kyuugyou_shiori_fukushoku.pdf
- 【引用文献】
- 1)2)厚生労働省労働基準局監督課.“モデル就業規則(令和5年7月)”.モデル就業規則について.2023⁻07.https://www.mhlw.go.jp/content/001018385.pdf (参照2024-8-14)
- 3)神奈川産業保健総合支援センター.“治療と仕事の両立のための就業規則 規程例集”.
治療と仕事の両立支援事業.2023-03. https://www.kanagawas.johas.go.jp/files/libs/2397/202304261335406545.pdf(参照2024-8-14)
- 4)労働者健康安全機構.職場復帰支援にかかるモデルプログラム〈補足資料〉
休業・復職支援のご案内~休業から復職までの流れ
https://www.johas.go.jp/Portals/0/data0/sanpo/shokubafukki/download/kyuugyou_shiori_fukushoku.pdf (参照2024-8-14)