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【両立支援に生かしたい‼『就業規則』について考えよう】⑧時間単位・半日単位の年次有給休暇制度
労働者(患者)から「午後からの診察なのに、うちの会社には半日休が無いから1日休まなければならないんです。これって労働基準法違反じゃないんですか?」と聞かれました。
半日単位の年次有給休暇のことですね。時間休(時間単位の年次有給休暇制度)でも同じような質問を受けることがあります。
これらの制度が無い会社は法違反になるのでしょうか?
いいえ。労働基準法での年次有給休暇は、労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図るため、また、ゆとりある生活の実現にも資するという趣旨であり、原則として1日単位としています。
年次有給休暇の原則は1日単位なので、時間単位や半日単位の制度が無いからといって法違反にはならないのですね。
そうです。時間単位・半日単位の年次有給休暇制度は、事業場が自主的に設ける制度です。
制度があると、子供の学校行事、官公署や銀行での手続きなど必要な時間分だけ取得できるため、労働者の多様なニーズに柔軟に対応することができますね。
治療と仕事の両立においても、病気の治療や通院は数時間から半日で終わることが多いので、時間休や半日休があると治療と仕事の両立がしやすいです。
通院頻度が多い期間は、限られた日数の有給休暇を分割して使えるメリットがありますね。
ただし、年次有給休暇の本来の趣旨を損なわないようにするため、時間単位の年次有給休暇については、労使協定を締結することと、1年で5日分まで、という上限が決められています。
半日単位の有給休暇も上限がありますか?
いいえ。就業規則の定めによって、1日単位での取得を阻害しない範囲で運用される限り、労働者からの請求に応じて与えることができます。
制度があると、労働者が柔軟に使い分けることができて、治療や疲労回復、リフレッシュにうまく活用できますね。
- 【参考文献】
- 神奈川産業保健総合支援センター “治療と仕事の両立のための就業規則 規程例集” 治療と仕事の両立支援事業 2023-03.
https://www.kanagawas.johas.go.jp/files/libs/2397/202304261335406545.pdf (参照2024-12-13)