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【両立支援に生かしたい‼『就業規則』について考えよう】⑩再雇用制度
がんと診断された時にパニックになってしまい、将来への不安や会社に迷惑をかけるとの心配から、「辞めます」といってしまった労働者(患者)がいます。
「辞める」という発言は安易にしてはいけません。退職の場合、判例ではその意思表示が使用者に到達した時点で効力が生じるとされていますので、それ以後は退職の意思表示を撤回することはできないとされています。
もちろん、事業場が応じてくれれば可能ですが。ところで、休職者に復職したい気持ちはあるけれど、休職期間が満了する日になっても体調が安定しないとき(休職事由が消滅しないとき)には、どうなりますか?
まずは就業規則を確認しましょう。退職となる場合や、休職を延長してもらえる場合など、会社によって規定は様々です。
一旦退職となっても、「今の会社で長く働き続けたい」という想いを持った労働者が戻ってこられる制度があればいいですね。
再雇用制度を規程している会社もあります。
具体的にはどんな制度でしょう?
私傷病や育児、介護、配偶者の転勤など、個人のやむを得ない事由(会社が任意に定める)により一度退職した労働者に対し、本人の希望に基づいて、退職前の会社が再雇用等で働く場を提供する制度です。
退職理由となった事情が解消、軽減し、再雇用を希望する労働者を優先して採用し、退職前の実績を踏まえた配置を行うなど、特別の配慮をするという制度ですね。
もちろん、再雇用するには職場復帰する環境が整っており、職務遂行において支障がないことが要件になります。私傷病による退職の場合は、主治医意見書などで、心身の状態について再雇用できる状態であるかを判断します。
6か月や1年などの有期契約の非正規労働者が、長い治療期間のために契約更新できなかったときも、こういう制度があるといいですね。
- 【参考文献】
- 神奈川産業保健総合支援センター “治療と仕事の両立のための就業規則 規程例集”
治療と仕事の両立支援事業 2023-03.
https://www.kanagawas.johas.go.jp/files/libs/2397/202304261335406545.pdf (参照2025-2-13)