健康情報"ほっと一息"
【両立支援に生かしたい‼『就業規則』について考えよう】⑪健康情報等の取扱規程
「会社に病名を伝えると一気に広まってしまうから言いたくない」という労働者(患者)の方がいました。
個人情報が無造作に扱われる職場を想像すると、不安になりますよね。
病気のレッテルを貼られることを危惧したり、周囲に余計な心配をかけたくないと考えたり‥人によって想いは様々です。そのため、個人情報の取り扱いには慎重な対応が求められますね。
平成30年9月7日、厚生労働省は「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取り扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」を公表しています(改正令和4年3月31日)。
これは、労働者の健康情報の取り扱いに関する原則を示したものですね。その趣旨は?
主な趣旨は次のとおりです。①健康情報は非常にデリケートな情報であること。②労働者が「自分が不利に扱われるのでは?」など不安に思うことなく、安心して会社に報告し、産業医などの健康相談を受けられる環境を整えること。③会社が労働者の健康を確保するために、必要な健康情報を取得し、適切に管理すること。
会社は具体的にどのような対応を取る必要があるのでしょうか?
まず、社内で「健康情報等の取扱規程」を作成し、健康情報を取り扱う目的や方法などのルールを定め、労働者に周知することが重要です。
その取扱規程には、「健康情報を取り扱う者とその権限、および取り扱う情報の範囲」を定める事項がありますね。
つまり、「誰が、どの種類の情報の取り扱うのか」を明確にすることです。
それによって、従業員のプライバシーに関わる人が限定されるということですね。
そのとおりです。では、従業員側の対応についても考えてみましょう。
従業員自身も、自分の情報を「誰に、どこまで伝えるのか」を意思表示をすることが大切ですね。
病気について一切公表しないと、職場が適切な対応を取れず、必要な配慮を受けらない可能性もあります。
信頼できる上司や同僚に伝えることで、理解者を得て気持ちが楽になったというケースもありますね。
病名を公表しないことのメリットとデメリットを十分に考えたうえで、判断することが必要ですね。
*保健師コラムは、今月号で一旦終了とさせていただきます。
6年間、ご覧いただきありがとうございました。
- 【参考資料】
- 「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取り扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/000922318.pdf (参照2025-3-13)
- 事業場における労働者の健康情報等の取扱規程を策定するための手引き(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/000729524.pdf(参照2025-3-13)
- 神奈川産業保健総合支援センター
“治療と仕事の両立のための就業規則 規程例集”
治療と仕事の両立支援事業 2023-03.
https://www.kanagawas.johas.go.jp/files/libs/2397/202304261335406545.pdf (参照2025-3-13)