産業保健コラム

髙橋 真


所属:髙橋整形外科医院 院長

専門分野:整形外科

肩こり・腰痛 あれこれ

2023年8月1日

 さて、平成28年の国民生活基礎調査では、それ以前からと同様に国民の有訴者率(身体のどこかに何らかの不具合やケガがある率)の男性1位は腰痛、2位は肩こり、女性はその1位と2位がひっくり返っただけ、という整形外科医にとっては肩身の狭い数字が並んでいます(ストレスもそれらの原因になり得ると言われていますが)。

 

 通常背骨を横から見ると、首(頚椎)は前へ、背中(胸椎)は後ろに、腰(腰椎)はまた前へと緩やかにカーブし、全体としてS字状になっています。このカーブのお陰で私たちは頭を頂点に持ってきて発達させ、上半身で効率良く支えることが出来るのですが、最近はほぼ毎日このカーブが無くなった、所謂「ストレートネック」や「ストレートバック」の方をお見受けします。人類が長年掛かって獲得した背骨の並びがそんなにすぐに変わるものでしょうか?皆さん、昨今のパソコン無しでは考えられない仕事内容で、腰を前へ屈めて背中を丸め、首を思いっきり前方へ突き出した姿勢で仕事やスマホをしておられませんか?長時間同じ態勢の後に肩を揉んだり、腰を叩いたり・伸ばしたりされることがあると思いますが、背骨を支える周辺の筋肉が凝り固まってしまい、この大事なS字状カーブが採れなくなってしまっているのです。

 

 では、どうしたら良いのでしょう?まずはこの不良姿勢を改善させる為、出来るだけ長時間同一姿勢を取らないように心掛けて下さい。ストレッチを上手に活用する、腰痛が強くなる前に予めコルセットを装着する、なども一つの手です。インターネットでは、「自主トレバンク」・「日本整形外科学会」・「日本臨床整形外科学会」などのホームページには各種の筋力訓練やストレッチが多数載っており容易に調べられます。自分に必要と思われるもの、やってみてそんなに痛くないものを選んで生活習慣の中に取り入れてみられたら如何でしょう。尤も「肩こり」などで検索してみると、枕や各種サプリメントのCMが山盛りです。身体の周辺から変えていくか、身体そのものや仕事の習慣(スタイル)から変えていくか、どうぞこの機会に是非取り組んでみて下さい。

髙橋 真