産業保健コラム
松井 大輔
所属:京都府歯科医師会 公衆衛生委員会
専門分野:産業歯科
新任のご挨拶
2023年10月2日
8月3日より産業保健相談員を務めさせていただきます、松井大輔と申します。平成18年に鶴見大学歯学部を卒業し、現在は京都府立医科大学、保健・予防医学教室(公衆保健科学部門)で学内講師をしております。本年度より京都府歯科医師会の公衆衛生委員会委員を拝命し、そのご縁で相談員をさせていただくことになりました。
歯科保健というと、一見、産業とは関係ないように思えるかもしれません。しかし、口腔の健康は、全身の健康や仕事の効率、そして生活の質に深く影響を与えます。海外の研究では、口腔の疾患により1人あたり年間平均3.5時間の労働時間の損失が発生していると報告されています。特に産業現場では、従業員の健康を維持し、長時間の作業に耐えられる体力を確保することが重要となります。日々の業務で感じるストレスや体調不良も、意外と口腔の健康と関連していることもあります。
現在は公衆衛生学の知識を活かし、企業での歯科健診(歯科特殊健診を含む)を積極的に行っております。これまで50人以上の事業所が歯科特殊健診の実施結果を所轄労働基準監督署に報告する義務がありましたが、令和4年10月より労働安衛生法が改正され、全事業所が報告の義務対象となりました。令和5年4月からは事業所での化学物質の自律的管理も開始され、年々増加している化学物質の健康被害を防ぐためにも産業歯科はますます重要になってきております。
産業保健相談員として、より多くの方々に産業歯科の重要性について理解していただき、具体的な支援を提供する機会を広げたいと考えております。個人の健康だけでなく、組織全体の生産性向上にも寄与できると信じています。口腔について何かお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。
松井 大輔