産業保健コラム

坂田 晃一


所属:トヨタバッテリー(株) 産業医

専門分野:産業医学

ストレスチェックについての私見 -続編-

2020年1月6日

 新年明けましておめでとうございます。年始にあたって望ましいテーマと考えましたが、思いあぐねた結果、新任挨拶(16年4月)の際に書いたテーマの続編として、ストレスチェック(以後SCと表記)の目的の1つである職場環境改善について書きたいと思います。

 

 これについては、まだ多くの事業所がどうしていいか困っているという印象があります。初めは、外部専門業者に委託し職場診断結果の見方説明会のようなものを開催することが多いようですが、その次のステップをどうしていいかわからないという感じです。研修会などで、従業員参加型で行う方法が自治体や医療機関で有効だったと耳にしますが、私も過去に外部専門機関に委託して従業員参加型を体験し、それを自分で実施しようと試みるも事業所全体への展開には持っていけなかった苦い経験があり、なかなか手を出しにくいという印象です。

 

 今、自分の関わる事業所では、集団結果説明会(2時間、グループワークを含む)または産業医との個別面接(所用時間30分と書いてます)の選択制を始めてみました。当初は結果を確認しておき、「どうしたらいいですか?」と言われても何点か言えるように準備しておいたのですが、実際に始めてみると「自分はこう考えているのですが、どうでしょう?」「すでに〇〇を始めました。」というやり取りが多く、非常に有意義な意見交換という印象です。結局、我々が健康診断の時にやってしまいがちな「指摘して改善させたい」という間違いを再び行おうとしていました。実際の健康診断でも、結果について健康管理スタッフが「悪い」と指摘して一方通行の指導を行っても改善しないことはよくあります。SCの職場診断結果も健康管理部門(または他の部門)が悪いところを指摘しても同じ結果になってしまうのではないでしょうか。やはりキーパーソンは管理監督者であり、自らが気づき、できることから継続的に改善することが重要だと感じています。そのためにもSCによる職場改善活動と名をうってやるより、 「年間活動計画に職場環境改善項目も1つ以上入れましょう」というような普段の活動に組み込むことが得策ではないかと思っているところです。

 

坂田 晃一