産業保健コラム
長井 苑子
所属:(公財)京都健康管理研究会 理事
専門分野:呼吸器内科・膠原病・サルコイドーシス・産業保健
コロナとの日々に
2022年4月1日
新型コロナウイルスが武漢であらわれてからもう2年が過ぎました。
正体がわからないうちは、不安がどんどん増大して、今から思えば、感染者数も死亡者数も日本は少ない状況でしたが、経済が疲弊するほどの自粛の日々が継続されました。振り返りますと、デルタ変異株による第5波では、オリンピックの時期とも重なり感染者数はそれまでの数をはるかに超えていましたが死亡者数は低くなっていました。秋には、ワクチン効果もあるのか収束して、秋晴れの京都には観光客が少しはもどってきました。
しかし、南アフリカで発見されたというオミクロン変異株が、今年の1月からあっという間に感染拡大して欧米の感染者数に近づきそうな勢いで増加してきています。京都の増加も過去最高といわれるようになりました。
オミクロン変異株は若い世代に感染者数が多く軽症がほとんどです。しかし、最近になって、高齢者への感染と一部の重症化がみられるようになっています。さらには、オミクロンの亜株が見つかっており、本当に、今年中に収束するかどうかは、誰もわからないのが真相でしょう。
すでに接種されたワクチン2回の効果も薄れる時期であろうということで、第3回目の接種が行われだしています。どこまで効果を示すのかは、これも未知の部分が大きいようです。
治療薬も市場にようやく出されようとしていますが規制の中での使用です。副作用などもわからないままにどのように投与すべきかは残された課題です。
現実的には、風邪症状で熱がでても受診せずに、家で寝て回復している人、うっかり保健所の指導をうけると隔離を要請されるので、自営や仕事をやめると生計が苦しいという状況ではコロナ感染の刻印をおされたくないという人々もいる可能性もあります。すなわち感染者数はもっと多いかなと思われます。濃厚接触者の隔離期間の短縮、疑似症がスタッフの中にでているのも現実です。就労の問題と合わせての妥当な判定を個別にやりながら、局所的な医療疲弊はどこの診療所でも起こりうると実感しています。
今のオミクロン株では、感染症2類でなく、インフルエンザや普通の風邪対応でいいのかもしれません。第6波の感染拡大が極まって集団免疫が効果を表して終息へむかうことを強く期待しています。
長井 苑子