産業保健コラム

森口 次郎


所属:(一財)京都工場保健会 産業医学研究所 所長

専門分野:産業医学・高血圧

6月1日からの受動喫煙防止措置の努力義務化によせて

2015年6月1日

 昨年公布された「労働安全衛生法の一部を改正する法律」(平成26年法律第82号)のうち、受動喫煙防止措置の努力義務が平成27年6月1日から施行されます。室内又はこれに準ずる環境下で労働者の受動喫煙を防止するため、事業場の実情に応じ適切な措置を講じることが事業者の努力義務となります。適切な措置の例として、全面禁煙、喫煙室の設置による空間分煙、たばこ煙を十分低減できる換気扇の設置などがあります。また、中小企業事業主が喫煙室を設置する場合は、費用の1/2の助成(上限200万円)を受けることができます。その助成制度の詳細についてはホームページをご覧ください。 
 この法改正の施行と時期をあわせて、5月31日には世界禁煙デー、5月31日から6月6日には禁煙週間が実施されます。WHO世界禁煙デーのテーマは
「Stop illicit trade of tobacco products」(タバコ製品の不法取引の根絶)、禁煙週間のテーマは「2020年、スモークフリーの国を目指して ~東京オリンピック・パラリンピックへ向けて~」です。法改正の周知とともに社員の喫煙習慣見直しを促す絶好の機会になると思いますので、ぜひ安全衛生委員会などを利用して啓発に努めてください。
 また、「喫煙対策の教育をしたいが、資料作りの時間が取れない」という産業保健スタッフの皆さんには、産業医科大学産業生態科学研究所健康開発科学研究室の大和浩教授のホームページが大いに役立つと思います。このホームページには、大和先生のこれまでの主要な講演が公開されて
いて、自由に利用することができます。今年4月に京都を中心に関西で開催された日本医学会総会2015関西における産業医セッションや市民公開講座での大和先生の講演スライドもいち早く公開されています。
 今回ご紹介した情報が皆さまの産業保健活動に役立てば幸いです。

森口 次郎