産業保健コラム
今坂 一郎
所属:
専門分野:シニア産業カウンセラー
ゲートキーパー養成研修を受講して
2024年11月1日
令和6年8月29日の午後、京都市こころの健康増進センターによるゲートキーパー(命の番人)養成研修を受講(於:ラポール京都)する機会がありました。
研修の前半は、『ゲートキーパーって何?』と題して、精神科医である香月晶センター長による、国内の現状としての大学生や妊産婦の自殺、その企図や未遂者が抱える問題などについての総括的なお話がありました。香月さんは、ゲートキーパーの役割として、「本人の気持ちを否定しない」「気づく」「耳を傾ける」「専門家や支援機関につなげる」「見守る」ことの大切さを強調されていました。
研修の後半には、僧侶で臨床心理師・公認心理師である森崎雅好高野山大学教授による『守りたい大切ないのち~私たちにできること』と題するお話がありました。森崎さんは自らの経験を交えながら、ゲートキーパーが果たす役割に関して、そのキーポイントを具体的にわかり易く語られました。以下では、森崎さんのお話を聞く中で、特に印象に残ったキーワードのいくつかをご紹介します。
「苦しい・逃げたい・楽になりたいとの思いが募って自殺にいたる」「死にたがる生き物は人間だけでしょう」「脳が病気になって自殺しようとする人に向かって、ガンバレというYouメッセージを発することは余計に緊張させる」「頑張ったと私は思うよ、つらい気持ちを語ってくれてありがというIメッセージが必要」「家族が気づかないのは本人が近くにいるのでスルーし勝ちになるから」「ゲートキーパーが目指すところは安心とリラックスである」「話を聞いた後には一緒に医者に行くくらいのもう一押しが必要」などなど。
その他に意味深長なお話として、「床入りして眠ろうとする時と実際に眠りに入る瞬間の思い、更には翌朝に目覚めた時の思いは異なる」がありました。
この研修に参加して感じましたことは、常日頃からある程度は心がけているものの、つい怠りがちになるカウンセリングマインドとそのスキルの深化を怠ってはならないという反省でした。有意義な研修に参加させて戴きましたことに感謝しています。
今坂 一郎