産業保健コラム
今坂 一郎
所属:
専門分野:シニア産業カウンセラー
マインドフルネスについて思うこと
2018年1月4日
最近、個人のメンタルヘルス対策と併せて、ビジネスにおける能力開発
や会社組織の活性化に効果があるとして、マインドフルネスが注目されて
います。その定義は捉える観点によって異なるようですが、仏教哲学やヨ
ガ哲学にベースがあるとされます。これは宗教的な要素を省いた瞑想と呼
ばれたり、マインドフルネス瞑想とも称されています。
マインドフルネス実践の基本的なものとして、姿勢を正して自分の呼吸
に注意を注ぐ方法があります。これを継続するとストレスの低減や集中力
の向上など、健康保持や日常生活に良い効果が得られるといわれます。
人間の脳細胞は神経細胞を含めると1,000億個あるとされ、脳内ではこ
れらが密に絡み合って複雑な働きをしています。これらの脳細胞は、常に
働き続けて常時何かを考えるという雑念と妄想の状態、いわば自動車のエ
ンジンでいうアイドリング状態にあるとされます。そのため脳は放ってお
くと疲労しやすいということになります。
マインドフルネス瞑想を行うと、この雑念と妄想の状態が抑えられて脳
を休ませることになり、うつ症状が緩和される効果があるともいわれます。
こうしたメカニズムは脳科学的にも明らかにされつつあるところです。
働き続けようとする脳のアイドリングを抑えて脳を休ませるために、呼
吸をしているという現在ただ今に集中することは、カウンセリングが行わ
れる場面で、今ここの思いに意を注ぐことが大切であるとされることに連
なります。
マインドフルネスが注目される前から、ヨガに基づく瞑想を長年続けて
いる私的な体験によって、マインドフルネスの効果が実感されます。当然
のことながらその実践においては、よい指導者による正しい指導を受ける
ことを忘れてはならないと考えています。
今坂 一郎