産業保健コラム

岩澤 正明


所属:岩澤労働衛生コンサルタント事務所

専門分野:労働衛生コンサルタント・産業カウンセラー

メンタルヘルスのアラカルト

2022年4月1日

サクラの季節
新年度4月に入りました。世界で不安な社会情勢の話題が続きますが、身近なことに目を向ければ、何と言っても桜の開花です。今年のお花見はどうでしょうか、昨年は早咲きでしたが、今年は平年並みという報道もされています。新型コロナウイルス感染の状況が好転して、楽しめる状況になっているでしょうか。満開の桜は、静かに見ているだけでも、人々の心を豊かにしてくれるサクラパワーがあります。花や樹木には、身体に良い効果があると云われていますので、短い期間になりますが桜を楽しみましょう。 ほんの少しの間でも、リフレッシュする時間を持つことが、メンタル面でも効果がありそうです。
新年度のスタートでもあります。社会人や学生生活での新しいスタートになる方も多いと思います。新人には色々な面で「学び」の期間であり、新人へのメンタルヘルス対応は、サポート体制が重要なことは言うまでもありません。

 

リモートワークやオンライン研修など
コロナ感染拡大防止の観点から、急遽リモートワークが始まったところも多いと思います。試行錯誤しながらの仕事でマネジメントをどうしたら良いか苦慮し、部下も孤立感や仕事の報告の仕方、上司や同僚との相談の仕方などに悩んだという声が聞かれます。対策として「webコミュニケーション研修会」を開催したというような事例も紹介され、色々工夫し新しい試みが進んでいます。こうして研修会もオンラインで開催される機会も増えています。メリットとして参会者が対面型より多かったという結果も上げられています。表情や反応が分かりにくいので、やり方に工夫が必要ですが、新しい手法として、メリットを活かして効率化に活用したいものです。
先日、オンラインを活用した面談を初めて経験しました。区切りを入れて相手に受け答えの内容が正確に伝わったかどうかを確認しながら進めましたが、少々疲労感が残りました。こうした手法にも慣れていくことが要求される今日この頃なのです。

 

健康に関する統計の話題
正月には「この1年も健康で過ごせますように」とお祈りした人も多いでしょう。 厚生労働省『令和2年簡易生命表』によると、日本人の平均寿命は男性81.64歳と前年から0.23歳増、女性は87.74歳と前年から0.29歳増と、過去最高を更新しました。長寿国の名声は不変ですが、自立生活が可能な健康寿命を延ばす心身両面のアプローチが益々重要になっていると言えます。一方、厚生労働省発表の令和3年の自殺者数の確定値では21,007人となり、2年ぶりに減少しました。 男女別にみると、男性は12年連続の減少、一方女性は2年連続の増加となっています。また、男性の自殺者数は、女性の約2.0倍となっている。原因・動機別を見ると、経済・生活問題、仕事疲れ・職場での人間関係の問題などが前年比増加している。2万人にも及ぶ自殺者の数は何としても減少させなければなりません。不安定な経済状況下で、生活の不安などがあると思いますが、職場では良好な人間関係の形成とハラスメント防止対策も重要事項です。総合的な対策の推進が従来以上に求められていると言えます。

 

事業所訪問活動について
メンタルヘルス対策促進員活動で、色々な業種の事業所を訪問させていただいています。社会福祉、医療、建設、飲食店、塾、税理士事務所などバラエティに富んでいます。最近訪問させていただいた事業所は、比較的小規模の事業所が大半でした。共通することは、アットホームな雰囲気で、小回りの利いたスピーディな仕事ぶりです。コミュニケーションも良く伝達も早いのが特徴です。メンタルヘルス問題が発生したときに困らないように、「京都産業保健総合支援センターがありますよ」と覚えていただければという願いで、センターのこともお伝えしています。事業所訪問の目的の一つで大切なことと考えています。

京都産業保健総合支援センターでは、精神科医など専門家の相談窓口、新入社員並びに管理監督者研修への講師派遣、各種のメンタルヘルス研修などが継続的に開催されていますので、是非活用いただければと思います。
 メンタルヘルス対策支援サービス https://www.kyotos.johas.go.jp/wp/mental

岩澤 正明