産業保健コラム
小澤 裕美子
所属:オザワ社労士事務所
専門分野:特定社会保険労務士・産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
難病対策の改正について
2015年3月2日
メンタルヘルスの話とは外れてしまいますが、昨年5月30日に「難病の患者に対する医療等に関する法律(以下「難病法」といいます。)」が公布され、今年1月1日から新たな難病の医療費助成制度が始まりました。
難病に関する法律ができたのは、世界で初めてだそうです。法律ができたことで、医療だけでなく、福祉、介護、就労、教育等の綜合対策が充実し、拡大されることが期待されています。
そもそも難病とは、今回成立した難病法によると、「発病の機構が明らかでなく、かつ、治療方法が確立していない希少な疾病であって、当該疾病にかかることにより長期にわたり療養を必要とすることとなるもの」という定義です。長期間の治療が必要となります。
新しい医療助成制度では、大きな変更が多々あります。難病にかかる医療の自己負担割合の変更(原則3割から2割へ)、月額自己負担の上限額の変更、算定方法の変更、指定医療機関や指定医の導入等があります。
また、大きな変更としては、助成対象となる疾病が従来の56疾病から、今年1月から110疾患に、今年の夏頃から約300疾病に拡大される予定です。
対象疾患が大幅に増えたのは大きな前進だと思うのですが、一方で1ヵ月の自己負担の上限額が上がったことや、従来は全額自己負担額無しだった院外薬局の薬代の負担が発生する等で医療費の負担が増えたのではないかと不安になられている患者の方も少なくないのではと思います。
難病法が成立し、昨年機会があり、改正された難病法の説明も含めた難病対策の会合に参加したことがありました。
就労されている方から「今は体調が悪く会社を休職中だが、このまま会社に在籍していてもよいのだろうか。退職したほうがよいのだろうか。」という切実な質問を発表者にされていました。難病というと、「寝たきりではないか」とか「仕事はできないのではないか」というイメージを持たれる方もおられるかもしれません。私も以前はそのようなイメージを持っておりました。でも症状は安定したり、悪くなったり様々です。
重篤な方もおられますし、服薬治療等で通院しながら仕事をされる方もおられます。外形的には一見して病気であることがわかりづらい場合も多いです。
働くうえで、病気のことを会社にどのように説明すればよいか、説明して理解はしてもらえるのか等、悩みや不安を日々持っておられ、「治療と社会生活の両立」は大きな課題であり、目標です。
就労支援の一環として、平成25年度から全国15箇所のハローワークに「難病患者就職サポーター」が配置されています。
難病相談・支援センターと連携しながら、就職を希望する難病患者の方々に対して、症状の特性を踏まえた就労支援が行われているようです。京都では今年度はまだ配置されていないようですが、次年度以降全国のハローワークで配置され、少しずつ支援が拡大していくことを期待しています。
小澤 裕美子