産業保健コラム

小澤 裕美子


所属:オザワ社労士事務所

専門分野:特定社会保険労務士・産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

ゲートキーパーになろう

2024年9月2日

 ご存じの方も多いと思いますが、9月10日は世界自殺予防デーです。2003年に世界保健機関(WHO)と国際自殺予防学会(IASP)が共同で開催した世界自殺防止会議の初日を最初の世界自殺予防デーとして、世界的に自殺対策に取り組む責任があると決意表明(宣言)された日です。
 日本では自殺対策基本法という法律に基づき、毎年9月10日から16日を「自殺予防週間」として国、地方公共団体、関係団体等が連携して「いのち支える自殺対策」という理念のもと啓発活動をしています。具体的にはポスター・動画や相談窓口の周知などです。この時期に合わせて自治体や民間団体等による相談事業の実施などもあります。

 自殺対策の取り組みなどの情報をわかりやすくまとめた厚生労働省のサイトがあります。「まもろうよ こころ」です。そのサイトの中に「ゲートキーパー」についての説明がありました。それによるとゲートキーパーとは、「命の門番」とも位置付けられており、悩んでいる人に気づき、声をかけてあげられる人のことをいいます。研修や資格は必要ありません。「変化に気づく」、「じっくりと耳を傾ける」、「支援先につなげる」、「温かく見守る」の4つの役割がゲートキーパーには期待されていますが、そのうちのどれか1つができるだけでも悩んでいる方にとっては大きな支えになるとありました。
 日々、私たちの心の門は開いたり閉じたりしていると思います。他人に対してだけでなく自分に対しても自身の心の門が開かないときもあります。その中でゲートキーパーの意識を持つことは、悩んでおられる方の支えの1つになれるかもしれないし、自分自身がしんどいときには、自身の声にじっくりと耳を傾けることで自身の思いに気づけるかもしれません。前述で「研修は必要ない」旨書きましたが、各自治体や民間団体主催の「ゲートキーパー養成研修」は毎年開催されています。また「誰でもゲートキーパー手帳」や「ゲートキーパー養成研修用動画」など「まもろうよ こころ」のサイトでアップロードされています。ご関心のある方は一度ご参加あるいはご覧になっていただけたらと思います。

 

※厚生労働省 「ゲートキーパーになろう!」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/gatekeeper1.html

※厚生労働省 まもろうよ こころ
https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/

 

小澤 裕美子