産業保健コラム
小澤 裕美子
所属:オザワ社労士事務所
専門分野:特定社会保険労務士・産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
桜のお家(雑感)
2018年12月3日
◇ 桜のお家(雑感)◇
メンタルヘルス対策促進員 小澤 裕美子
休日に時々近所を散歩します。近所のお家の庭の木や花を見て和んでい
ます。空家になっているお家の庭に桜の大木が一本ありました。数年前に
見つけ、桜がとても綺麗で豪華で見とれました。「桜のお家」と勝手に
名づけ毎年桜の季節に通るのが楽しみでした。
今年の夏頃から、桜のお家の解体が始まりました。桜の木が切られる
ことが気がかりでした。時々見に行って、まだ大丈夫と内心ほっとして
いました。
そして先日、桜のお家は更地になり桜の木は姿を消しました。茶色の土
だけになったのを見て、予想していたもののショックでした。
偶然お隣のお家の方がお庭の手入れをされていて、思わず「桜の木は
なくなったのですね・・」とお声をかけました。お隣の方は「そうなんで
すよ・・寂しいですね。通りがかる皆さん寂しがっておられます。」と
言われました。しばらく立ち話をしました。
まだ桜のお家に住人がおられた頃は、そのお家に招かれて、お庭で花見の
宴をされたことを懐かしそうにお話されました。他にも葉桜や桜紅葉の
頃も綺麗だったこと、桜が咲く前の、咲こうとする姿がとてもエネル
ギッシュで、パワーを貰われたこと等をお話され、お隣の方が桜の木を
大切に愛おしく思われていたことが伝わってきました。
初対面で突然お声をかけたことをお詫びしたら「名残惜しいと思って
おられる方と気持ちを共有できてよかった。」とおっしゃって下さいまし
た。私の気持ちを聴いて頂いたことで、寂しさが癒されたように思いまし
た。
帰り際に、お隣の方が引っ越して来られた時に、桜のお家の方から
貰われて育てておられるサザンカの木の花枝を切ってプレゼントしてくだ
さいました。八重の白く大きなサザンカの花。綺麗で豪華でパワーのある
花です。お隣の方の思いも一緒に頂いたような気持ちになりました。桜の
木にはもう会えませんが、桜の木にまつわる思いは消えないと思います。
小澤 裕美子