産業保健コラム

勝見 九重


所属:スリー・バイ・スリー 勝見社会保険労務士事務所

専門分野:特定社会保険労務士・産業カウンセラー・キャリアコンサルト

治療と職業生活の両立支援について

2016年5月1日

「治療と職業生活の両立支援対策事業」(平成25年度厚生労働省委託事業)にお
ける企業を対象に実施したアンケート調査によれば、疾病を理由として1ヶ月以上
連続して休業している従業員がいる企業の割合は、メンタルヘルスが38%、がんが
21%、脳血管疾患が12%である。また、「平成22年国民生活基礎調査」に基づく推
計によれば、仕事を持ちながら、がんで通院している者の数は、32.5万人に上って
いる。 (平成28年2月厚生労働省 事業場における治療と職業生活の両立支援のた
めのガイドラインより)
 
 上記の資料を見て、がんで通院しながら仕事を続けている方が32.5万人もいるこ
とにびっくりした。国民の2人に1人ががんに罹患する時代。平均寿命も延び、疾病
とうまく付き合いながら仕事をすることは決して珍しいことではない。それに伴っ
て事業場でも柔軟に働くことができる制度・運用が不可欠となる。
 両立支援の進め方として
 1.両立支援を必要とする労働者が、支援に必要な情報を収集して事業者に提出
 2.事業者が産業医等に対して収集した情報を提供し、終業継続の可否、就業上
   の措置及び治療に対する配慮に関する産業医等の意見を聴取
 3.事業者が、主治医及び産業医等の意見を勘案し、終業継続の可否を判断
 4.事業者が労働者の就業継続が可能と判断した場合、就業上の措置及び治療に
   対する配慮の内容・実施時期等を事業者が検討・決定し、実施
 5.事業者が労働者の長期の休業が必要だと判断した場合、休業開始の対応・休
   業中のフォローアップを事業者が行うとともに、主治医や産業医等の意見、
   本人の意向、復帰予定の部署の意見等を総合的に勘案し、職場復帰の可否を
   事業者が判断した上で、職場復帰後の就業上の措置及び治療に対する配慮の
   内容・実施事項等を事業者が検討・決定し、実施
 
 これらは実はメンタルヘルス不調による職場復帰支援とまったく同じである。
 どんな疾病にかかっても事業場による治療と職業生活の両立支援があれば安心し
て治療に専念でき、復帰後も治療と仕事を両立させることができる。
 私ども京都産業保健総合支援センターでは今年度より治療と職業生活の両立支援
についても利用が可能となりました。治療と職業生活の両立支援について少しでも
お役に立てるよう日々精進してまいります。
 
 参考
 治療と職業生活の両立支援についてガイドライン概要

http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11201250-Roudoukijunkyoku-Roudoujoukenseisakuka/0000113458.pdf

勝見 九重