産業保健コラム

勝見 九重


所属:スリー・バイ・スリー 勝見社会保険労務士事務所

専門分野:特定社会保険労務士・産業カウンセラー・キャリアコンサルト

ストレスチェック後の職場環境改善へのつなげ方

2017年8月1日

そろそろ今年のストレスチェックが始まろうとしています。
ただ、初めてのストレスチェック後で同じようなご相談を受けることが続
きました。

「集団分析の見方がわからない」
「職場環境改善にどう活かせばよいかわからない」

せっかく費用と時間をかけてメンタルヘルス対策の一つであるストレスチ
ェックを実施してもこんな悩みを抱えていてはもったいないですし、今年
のストレスチェックも同じような取扱いになるかもしれません。
そこでひとつのアイデアを挙げてみたいと思います。

1.会社のトップがもう一度ストレスチェック制度を受けることを宣言
  して、その意義を周知する
2.ラインケア研修で集団分析から職場環境改善につなげる意味と集団
  分析データの見方を学ぶ
3.人事や総務だけでなくワーキンググループを作って実際に動くキー 
  パーソンを決める
4.従業員も巻き込んでアクションチェックリストを使い、具体的な計画
  に落とし込む。
5.計画を実行し、確認、精査してPDCAサイクルをまわす。
6.次回のストレスチェックでは先の結果をふまえて経年での視点も持っ
  ておく。

またこんな声もいくつか聞かれました。

「部署別のデータがあると、どの部署の成績が悪いとか、悪者探しになる
のではないか」

この声は最初のストレスチェックを実施する前に、この制度の意味が管理
職に伝わっていないことも大きな原因ではないでしょうか。
総合得点は決して集団分析の成績順位を表すためのものではありません。
あくまでその職場や部署のうまくいっている点を伸ばし、職場の全員が改
善に向かって行動するための指針のように使っていただきたいです。

前出のアクションチェックリストを使い、具体的な行動につながるように
計画・実施をしてください。

もう一つ重要なのはストレスチェック受検後の従業員それぞれのセルフケ
アです。
せっかく職場環境改善につなげられたとしても、職場内で働く従業員のセ
ルフケアがうまくできていなければ効果はありません。

そもそもストレスチェック制度自体への理解がなかったり、プライバシー
は厳守されること、不利益な取扱いは受けないことを理解してもらうこと
を徹底してください。

セルフケア研修では自分のストレスに気づき、従業員自身がセルフケアを
実践できるように具体的にワークなどを取り入れてはいかがでしょうか。
ストレスチェック受検後のラインケア研修、セルフケア研修が浸透すれば
次回のストレスチェック受検への誤解や不安もなくなり、本来の目的であ
る一次予防にスムースに結びつけられるのではないでしょうか。

【参考サイト】

職場改善マニュアル(メンタルヘルスアクションチェックリスト掲載)
https://kokoro.mhlw.go.jp/manual/

ストレスチェック後のセルフケア
https://kokoro.mhlw.go.jp/

勝見 九重