産業保健コラム
金丸 京子
所属:金丸社会保険労務士・行政書士事務所
専門分野:特定社会保険労務士・産業カウンセラー・2級キャリアコンサルティング技能士
メンタルヘルス対策促進員より
2015年7月1日
先日、ある弁護士の労働関係に関する勉強会を受講しました。その中で、「パタハラ」(パタニティハラスメント)という耳慣れない言葉に関心を持ちました。
「パタニティ(=父性=Paternity)ハラスメント」とは、男性労働者が育児のために休業等をとることを経営者や上司が妨げる行為をいいます。
育児・介護休業法第10条には、「育児休業を取得したことを理由として、解雇その他の不利益な取り扱いをしてはならない」と定められています。
とはいうものの、実際に男性労働者が育児休業を取得している率はわずか2.03%(内閣府2014年度6月速報値による)。しかもこの中には数日間程度の取得に終わっているケースも多く、数ヶ月にわたる取得者はかなり少ないと考えられます。
男性が育児休暇を取りにくいのは、主たる家計の担い手である場合、長期取得による収入減という経済的な事情があります。その他、男性が配偶者の出産に際して仕事を後回しにするなんて考えられないといった価値観を持つ経営者や上司、あるいは同僚の理解を得にくいなどということもあるでしょう。
厚生労働省が2015年6月5日に発表した2014年の人口動態統計では、合計特殊出生率は1.42と9年ぶりに低下。晩婚・晩産が一段と進み、人口減少も大幅に増えました。
しかし、政府の調査では、産みやすく育てやすい環境が整いさえすれば、出生率は1.8程度まで改善するという結果もでています。
政府は、2015年3月の閣議決定した少子化大綱で、子育て支援を拡充する方針を明記。働く男性の1割以上が育児休業を取得できるようにする働き方改革を推進する方針も打ち出しています。
共に働く者同士が手を携えて、お互いの事情に、お互い様の気持ちで、育児や介護、あるいは看護を担う同僚に、あたたかい応援・支援ができるような「働きやすい、働きがいのある」職場づくりの一助になれるよう、微力ながら心を込めてメンタルヘルス対策促進活動をしていきたいと思っています。
金丸 京子