産業保健コラム
武田 理栄子
所属:
専門分野:シニア産業カウンセラー・キャリアコンサルタント・心理相談員
英国メリデン版訪問家族支援について
2022年11月1日
最近、保健所の精神保健福祉士の方と情報交換をする機会がありました。
精神障害者をサポートするプログラムのひとつに「英国メリデン版訪問家族支援」という耳慣れない内容のものでした。この支援は認知療法的家族療法が原型です。精神保健福祉士が、家庭を訪問し本人とその家族全体を支援するというシステムです。訪問支援のプログラムは次のような内容です。
①同居家族を個々に面談し、家族が困っていることや病気に関する理解を聞き取る。
②本人の現在の状態や再発時のサインの情報を共有する。
③コミュニケーションスキルトレーニングで喧嘩にならないための方法を学ぶ。
④問題解決への手順や方法を学び、家族内で起こる問題に取り組めるようにする。
上記のようなサポートを通じて、本人と家族が自分たちの力で困難を乗り越えて問題解決ができるようになり、精神障害の本人とその家族がそれぞれの生活を自分らしく生きることができるようになることが支援の目標です。
家族に病人がいると気がかりなことが常に起こります。また、当事者の本人は依存的になったり、逆に家族と疎遠になったり、家族が無関心であったりと家族間は様々です。ほどよい距離感と支えあいができるようになるには第三者の支援が有効です。
「英国メリデン版訪問家族支援」は日本では2015年に始まり、日本での歴史はまだ浅く、京都府のすべての保健所にトレーナーがいるわけではないようですが、私が知り合った若いトレーナーさんはたいへん意欲的でした。これからの実践と研究が期待されます。
武田 理栄子