産業保健コラム
武田 理栄子
所属:
専門分野:シニア産業カウンセラー・キャリアコンサルタント・心理相談員
ストレスチェック実施後のあれこれ
2016年12月1日
昨年末12月からスタ―トした「ストレスチェック」が各事業所で実施が
されています。
ストレスチェックの実施は「プライバシー保護」の対策をあらゆる角度
から検証し、受検者に不利益が生じないように配慮を講じた制度としてス
タートしました。
ストレスチェックを実施されたある事業所では、結果を受け取った社員
が 「やっぱりストレスが高かった」 「自分では高ストレスと思っていた
が、判定はそうでもなかった」などストレスチェックが社内で話題になっ
ているとのことでした。ストレスチェック制度の目的のひとつは「ストレ
スの気づき」ですから、その点に関しては成果があったのではないでしょ
うか。
「高ストレスだったけど、面談は受けない」「質問項目が多くて(100
以上)類似の質問にどう答えたかわからなくなって正確に判定されている
のか」「質問の内容が読み取れなかったから判定が違っているような気が
する」など。また、中間管理職は「やはり高ストレスだった~。理由は思
いあたる」と、実施後の職場での会話がストレスに関してそれなりの盛り
上がりがあるようです。
一方、実施側では、業者に委託している場合でも、判定結果を返却する
際に、かなり気を使っているようです。高ストレス者に対して医師の面談
を勧める 「承諾書」 を同封すると高ストレス者だけが封筒が厚くなるの
で、全員の封筒の厚みを揃えるための工夫を講じたりしています。 また、
委託業者は、判定結果を解り易く、深刻感を出さないよう 「ウサギ、猫、
タヌキ、いのしし」など動物に例えたイラスト付きの文書も加えて「ライ
ト」な感じに仕上げているのもあります。
社内で比較的オープンに話題にしている様子は実施前には想像ができない
ことでした。
しかし、ストレスチェックはデリケートな内容を含んでいます。深刻な
高ストレスの判定を受け取った人もあるかもしれません。あえて受検しな
かった人たちもいます。職場のリーダーや管理者は実施後の職場の雰囲気
を観察しておくことも大切です。
集団分析については「どのように対策をとるか検討中」という事業所が
多い印象です。具体的な対策を講じるのはこれからですが、「どうしたら
いいのかわからない」という声も聞きます。
ストレスチェックが「働きやすい職場づくり」に役立つ制度として定着す
るには、具体的な方策が必要です。
武田 理栄子