産業保健コラム

武田 理栄子


所属:

専門分野:シニア産業カウンセラー・キャリアコンサルタント・心理相談員

職場環境改善計画に奮闘する担当者の例と「うつ」を誘発するパワハラ

2018年3月1日

 私は、京都の北部地域を中心に活動しています。
 製造業界は業績がアップして、労働時間が増えています
2年ほど前から「求人を出しても集まらない」という採用担当者の声が聞
こえていました。1年前には某企業で、製造部門の要の人がヘッドハンテ
ィングされ、続いてその部門の数人が引き抜かれ、「現場が回らない」事
態が生じたことがあります。

 ある会社の人事担当者は「頑張る人が評価され、ボトムアップの社風を
作り、働き甲斐のある職場づくり」をしないと人材確保ができなくなると
危機感を持ち、ストレスチェック後の集団分析をもとに職場改善に奮闘さ
れています。取組み当初は管理職の認識は「総務の仕事」と人まかせの状
態でしたが、「職場環境改善計画助成金」を活用し、メンタルヘルス促進
員による管理職への「職場の現状の聞き取り」を行う中で、管理職自らが
「職場の課題発見」ができ、「改善計画作成」へと現在進行中です。

 「社員のうつ」の相談が増えています。
メンタル不調者がでると、周囲の人は何かしらの影響を受けます。
ある会社からの相談で「以前から不調だった人が、忙しさが増す中でとう
とう休んでしまった」という内容でしたが、当人に会ってみると、言いに
くそうにしながら「上司が・・・罵倒する・・・」と力のない声で不調の
きっかけを話してくれました。

 「うつ」は陰にパワハラが潜んでいることが多いのです。職場に援助的
な風土がなければ「いじめや悪口」が起こり、人を弧立させ、不要な緊張
を生んでしまいます。あなたの職場にパワハラ発言をする上司はいません
か。求人を出せばすぐに充足した時代は過去のことです。企業がこの先、
発展するかどうかは職場環境が要になる時代が来ています。

※産業保健関係助成金のご案内
  →https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/1151/Default.aspx

武田 理栄子