産業保健コラム
西村 和記
所属:SRオフィス西村
専門分野:特定社会保険労務士・産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
メンタルヘルス対策促進員より
2014年9月1日
平成23年3月に中災防が「小売業におけるストレス対処への支援」というテキスト
を作成しました。その中で職業性ストレスとして量的負担、身体的負担とともに速度
負担、感情負担についても言及されています。
対人サービスなので相手のペースを優先するだけでも、「とてもスピードが要求さ
れると感じ、追い立てられるような」気がするかもしれませんし、業務の一環として
感情を管理する必要のある労働を感情労働と言いますが、その感情管理が大きな負担
と感じることがあります。
ある特定の感情を作り出したり、またマイナスの感情を制御したりすることを感情
負担と言いますが、生じた感情をそのまま出せない時、「感情を隠すことによる負担」
が生じていることがあります。
「仕事の上で感情や気持ちがかき乱される」、「仕事に感情的に巻き込まれてしま
うことがある」といった感情負担や、「たとえ気が進まなくても皆に平等に接するこ
とが求められる」、「皆に親切で親しみやすくあることが求められる」といった「感
情を隠すことによる負担」は男女とも管理職で最も高く、ついで販売職で高いとされ
ています。
これら感情負担、感情を隠すことによる負担は、実は業種を問わずどの人にも起こ
りえます。
「何だかわからないがなんとなく落ち着かない、気持ちが重い」といった時に、も
しかすると、これら「感情負担、生じた感情をそのまま出せない負担」があるのかも
しれません。
これらの負担に対しては、生じた気持ちを、その場では無理でも後から場を設けて
グループなどで気持ちを語りあうデブリーフィングが有効とされますし、また個人で
うまく対処していくコツを身に着けることも、当たり前のことかもしれませんが大変
有効とされます。
死ぬまで勉強とよく言われますが、どんな場面でも自らの成長に役立て得る機会にし
ていきたいものです。
西村 和記