産業保健コラム
西村 和記
所属:SRオフィス西村
専門分野:特定社会保険労務士・産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
ストレスチェックの雑感
2016年1月4日
メンタルヘルス対策促進員の同僚に「ストレスチェックを実施すると言われて、素直に回答しますか?」と尋ねられ、私は天真爛漫なところがありますので、「全然素直に回答しますよ。むしろ結果が返ってくるのが楽しみです。」と答えました。彼から「制度として秘密が守られ、実施者も会社ではないわけですが、それでも会社が結果を知るかもしれないじゃないですか。自分のストレス耐性が疑われるかもしれないわけですよ。」と畳み掛けられますと、「そこまで言われてみると、まともに答えるのはためらわれますねー。設問ごとに当たり障りのない回答にするかも・・。」とその場ではあっさりと答えが変わ
ってしまいました。私は「そんな考えもありえるのですねー。」と申しましたが、 同時にそのように考える方も一定数はいらっしゃるのだろうと思いました。
そう思うと、逆にストレス点数が高い結果の場合は、作為的に回答したのでなく、素直な回答なのだろうと思います。わざわざ高く答えて注目を受けようという方は、まずおられないでしょう。そういう方に面接の機会を与えているのは意義深いと思います。
また集団分析によって、社内の集団ごとの状況を知ることもできます。厚生労働省版ストレス実施プログラムにより「仕事のストレス判定図」が作成されます。これは仕事のコントロール、量的負担、上司、同僚の支援の4つの項目から算出され、「健康リスク」の「総合」値が、例えば120なら健康リスクが通常より20%高く、何らかの問題が職場で生じている場合が多いとされます。これら4つの項目以外の尺度も全国平均や社内平均と比較するなどの利用も意義深いでしょう。
ちなみに全ての設問で理想的な回答となる集団の場合、その健康リスクの数値は19となり、全てで最悪と回答した場合の健康リスクは495となります。どちらも現実にはありえないだろう数値ですが、好奇心から計算してみました。
西村 和記