産業保健コラム
西村 和記
所属:SRオフィス西村
専門分野:特定社会保険労務士・産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
パワハラ対策全面義務化と「心の健康づくり計画」
2022年3月1日
大企業では令和3年4月1日より義務化されていましたが、来月の4月1日より全ての事業所でパワハラ対策が義務化されます。
パワハラ対策のみならず、妊娠・出産、育児休業等へのハラスメント対策、セクハラ対策、メンタルヘルス対策はすでに措置義務になっています。これらの対策の目標は「働きやすい職場つくり」です。
これらのハラスメント対策とメンタルヘルス対策には共通点があります。まずは会社方針の表明です。「セクハラやパワハラは許しません」といった簡潔な表明でもわかりやすく効果的です。次に「相談窓口」の設置です。もともと会社にはそういった担当者がいると思います。「子供が出来たので必要な手続をして下さい」などの事務窓口をそのまま担当者とすることもありえます。話しやすい担当者であることは大切です。相談内容により人事的な配慮が必要な場合もありえますので、担当者へのバックアップ体制も大切です。「相談窓口」の設置は、このように体制の整備をすることを意味します。
相談内容がパワハラやセクハラ、マタハラの場合、迅速な対応が必要です。実際にハラスメントが生じたときの対策や行為者の認定があれば必要な対処をすること、再発防止策についてあらかじめ決めておき、書面にしておくと冷静に対応出来ます。また相談情報の秘密は厳守すること、相談したことを理由として不利益を受けない表明も大切です。これらの内容を「計画」として、従業員に周知し、継続的に取り組むことが求められます。また、パワハラやセクハラ、マタハラについて従業員にわかりやすく説明しておくことや、周囲の同僚や上司もお互いに助け合える職場風土つくりも大切です。
上記の「計画」は、メンタルヘルス対策での「心の健康づくり計画」と構造上、似たものになります。「心の健康づくり計画」は「快適職場づくり計画」と読みかえると、わかりやすく取り組みやすくなるとおっしゃる企業様が多いです。方針の表明、相談窓口の設置など体制整備は共通です。具体的な実施内容についても、当たり前に現場で行なっていることですよ、とよく言われます。「心の健康づくり計画」の策定は、パワハラやセクハラ、マタハラ対策にも応用できます。働きやすい職場は生産性も上がります。働きやすい職場つくりはソフト面での生産性向上になります。メンタルヘルス対策支援サービスで「心の健康づくり計画」策定支援が出来ますので、どうぞご利用下さい。
西村 和記