産業保健コラム

花谷 和雄


所属:花谷社会保険労務士事務所

専門分野:社会保険労務士・産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

薬にまつわる雑感

2024年10月1日

 先日、仕事関係の団体の納涼会に参加して何気ない雑談をしている中で睡眠の話題で「暑くて眠れない」「ほんまにこの夏の暑さは、桁外れですね」等とたわいもない話をしていました。その時に私がふと「私は、最近加齢による不眠症の症状があり寝付けない時は、睡眠薬を飲んで寝ています。」と言ったところ複数の話し相手から「えーっ、睡眠薬ですって、怖いーっ」と言う反応がありました。医師が処方した睡眠薬を服用しているのに「怖い」などと言われて一瞬イラッとしましたがそこは、大人の対応で「あ、皆さんは、睡眠薬を怖いと思われておられるんですね」とカウンセラーチックな返事をしておきました。

 

 この時にふと思い出したのですが相談室に来室される治療中のクライエントが薬を服用することに抵抗があり自己判断で減量・断薬されることがよくあり、医療に詳しくない方の多くが薬、特に向精神薬の服用には、大きな抵抗があることを理解しながらも服用は、治療の第一歩なんやけどなあともどかしく感じていました。
その昔、私が初心者カウンセラーの頃先輩カウンセラーの集まりに参加して勉強していた時にTさんという薬の知識が豊富な方がおられました。Tさんの薬の知識には参考になることも多かったのですが事例を検討する時にクライエントが服用している薬から「このクライエントは、この薬を処方されているからこの病気や」などと話しされる方で私は、「それは話しが飛躍しすぎやろ」「決めつけすぎやろ」と強く反発していました。そして、当時未熟な私は、これに反発し「自分は、カウンセリングの時にクライエントがどのような薬を処方されているかを聞くとそのクライエントを誤解するのではないか」と考えてしまい薬の情報をシャットアウトしていました。

 

 それから少し経ち少し別の勉強会に参加した時に講師から「処方されている薬を知ることは、医師がその人の症状に併せて処方しているのだから症状を理解する上でクライエント理解に繋がるよ」と教えられ目から鱗状態でこれまでの自分の考えの誤りに気づきました。その後積極的に薬の情報も聞くようになりそこからカウンセリング技術が向上したように感じましたし、バイザーからも肯定的な評価を頂きました。カウンセラーとして活動している私も過去には、薬を理解する上で誤解があったりしていました。まして一般の方が「睡眠薬怖い」、クライエントが「少しよくなってきたので薬を減らした(自慢げ)」のような理解をされることは、致し方ないと考えます。その上でクライエントには、服薬のサポートをし、一般の方には、薬を正しく理解してもらえるように説明することもカウンセラーの責務かなと考えています。

花谷 和雄