産業保健コラム
宮本 理惠子
所属:宮本社会保険労務士事務所
専門分野:社会保険労務士・産業カウンセラー
新型コロナウイルス感染症と感情のコントロール
2021年3月1日
世界を震撼させている新型コロナウイルスから早1年を超えましたが、皆様はどのようにお過ごしでょうか。 新型コロナウイルスに対して、大変過敏、まあ過敏、いや平気であるなど、個人差はあるかと思います。ある方は、第一波コロナ時に怖くて家から出られなくて仕事を辞められました。反対に手洗いしない、消毒しない、マスクも無意味だけど取りあえず周りの空気に合わしている、という方もおられます。平均的には「まあ過敏」な方が多いのではないでしょうか。
また、コロナによる外出自粛などの様々な制限によるストレスの発散が言葉の暴力等につながり家庭崩壊の危機になるという報告もなされています。 夫はテレワークなど慣れない自宅での仕事、家事や育児を妻から求められる。妻は夫がいると家事が増えより忙しくなる。また経済的に不安定になっている。だからといって発散できる場がない。互いにイライラしてその鬱憤を暴言という力を借りて解消している。こうした繰り返しが家庭崩壊を招いてしまう。
ここで、ひとつ「暴言」という怒りは第二の感情であり、その前に第一の感情があるお話をします。
夫・・・お腹すいたよ。何か作って欲しい。
妻・・・掃除が終わったら作るわ。何がいい?
夫・・・無言
妻・・・はい。出来たわ、どうぞ。
夫・・・えー!チャーハン、他になかったの。
妻・・・溜まってた怒り爆発(返事もない、家事は私ばかり、いつも 何もしない、文句言うなら自分でしろ)
妻の怒りは、第二の感情「怒り」でありアクティングアウトといいます。自分では抱えきれない感情や葛藤を怒りという言葉にかえて実は自分を本能的に守っているのです。
この第二の感情の前に、第一の感情があります。第一の感情は、私はこんなに家事も育児も頑張っているのに文句をいわれて、「悲しい・空しい」とか「惨め」という感情です。 この感情を自分の中で受け止めるのは、なかなか困難ですので第二の感情が生まれます。 怒りは自分を守るための第二の感情であることを知り、怒りによるアクティングアウトではなく、他の方法を工夫して円満な家庭を築いていきたいですね。
宮本 理惠子