産業保健コラム
和田 昌子
所属:メンタルリンクエイド
専門分野:産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
キャリア形成と心の景色
2017年3月1日
キャリアという語源は、「車の轍(わだち)」「通った車が道に残した
車輪の跡」です。キャリアを(狭義の)キャリア=職業、職務、職位、履
歴、進路とするイメージが強いのですが、広義では、キャリア=生まれて
から、死ぬまで。始まりと終わりは、誰かの助けを必要として生きる人生
です。人は社会の中で生きている以上、一人で人生は始まらず、終わりも
しない。
人生における役割は、複数あり、同時に様々な場面で演じられるもの。
一人の人間でも、家という場面では「家庭人」であり「配偶者」、職場と
いう場面では「職業人」、地域では「町内会役員」などの役割が同時にあ
って、それらを演じている。豊かな人生を送るには、このバランスが大切
といわれています。
人の助けを必要とするのも、その役割があるのです。年齢を重ねるとな
かなか人様に甘えることも難しいと感じますが、時には人に助けを求める
ことも大丈夫なのです。「自分の人生劇場で、いろいろな役割を演じる」
と表現すると、人生楽しくなってきます。人生、時に身の置き所を探した
り、心のあり方を模索したり。その一瞬一瞬の儚さが、生きている確かさ
でもあります。
私自身、キャリアコンサルタントとして、キャリア形成助成金の一環で、
事業所にお伺いすることが多いのですが、まさに人生劇場そのものを共感
させていただいております。時に崩れそうになる心は、悲鳴をあげている。
その声を誰よりも聴かなければならないのは、自分自身なのに・・・その
声を聴けなくなるのが、メンタル不調(欝など)。時には、カウンセラー
相手に鏡のように映し出された自分と対峙することも必要かもしれません。
人生は軌跡。どんな人生を歩もうと、それが人生の轍。心の声が聞こえ
るうちに、自己との対話を道連れに人生劇場楽しみましょう。
和田 昌子