産業保健コラム

森崎 美奈子


所属:京都文教大学 臨床心理学部 客員教授

専門分野:臨床心理学 精神分析学、産業精神保健、労働衛生、職場不適応支援 他

新任のご挨拶 気軽にセンターのご利用を!

2017年5月1日

 私は東京女子大学心理学科を卒業後、慶應義塾大学医学部精神神経科に
入局し心理療法心理査定等の臨床活動に従事しておりましたが1985
年以降は心理職として、企業の産業保健活動にかかわっています。

 1980年代は職場のストレス対策が注目され出し社内のメンタルヘル
ス状況の把握と解決のための施策、活動の体系化とシステムづくり”が私
の課題でした。そこで活動目標を“コミュニケーションの良い明るい職場
風土づくりと社員の自己管理意識の啓発”とし、①活動のキーマンとして
管理職の育成(リスナー研修の実施)、②社員への相談体制の整備とPR、
③相談の受け皿としての産業保健スタッフ(看護師・保健師等)への支
援・育成、④関連部門(職場・人事労務・安全・健康管理部門)との連携
とコンサルテーション、等に努めました。

 ビジネス状況の悪化の中で、働く人々は心身を蝕まれ、職場不適応、過
労死、過労自殺が多発する昨今、職場のストレス対策の重要性が叫ばれて
います。 “過重な業務負担が脳・心血管疾患を引き起こした” 、“職場の
過度なストレスで精神不調 (含自殺)に至った”等との労災申請が急増し、
働く人々の心身の健康障害は深刻な社会問題となっています。また、都道
府県労働局、労働基準監督署への「職場のいじめ・嫌がらせ」に関する相
談件数や助言指導の申し出も増加しています。職場のいじめ・嫌がらせは、
職場の人間関係を悪化させるとともに、職場の秩序を乱し、労働者の勤労
意欲の阻害や組織の生産性の低下をもたらし、さらには、心身の不調もも
たらすなど労働者のメンタル不調の原因となることがあるとされています

 労働者の心の健康障害は労働者個人のみならず、企業にとっても生産性
や士気・労働力の低下に繋がる問題であります。心の不調従業員を発生さ
せないよう予防策を講じることは勿論のこと、不調になった従業員への適
切な対応が求められています。「ストレスチェック制度」や「仕事と治療
の両立支援」も重要な課題です。

 相談員として企業の産業保健担当の皆様の身近な存在でありたいと願っ
て居ります。
また、相談活動や研修・セミナーでの皆様との出会いは、私自身の更なる
成長に繋がります。どうぞ気軽にセンターをご利用ください。
 私の産業保健現場での経験が役立てば幸いです。よろしくご支援くださ
い。

森崎 美奈子